全国Vへ緻密な“2か年計画” 本気の中学女子チームが始動…選手に伝える「最先端野球」

今年発足した「京葉ガールズ」が取り入れる“機動破壊”
全国大会優勝3度を誇る中学硬式野球の強豪「東都クラブ京葉ボーイズ」は今春、女子チーム「東都京葉ガールズ」を発足させた。1期生として18人(2年生2人、1年生16人)が入部。初年度の今年は女子リーグに所属せず、男子チームとの試合で腕を磨き、2026年の女子中学硬式野球全国制覇を目指すという。
精鋭18人が集まったチームは4月に入って本格始動。5月中旬までに練習試合を5試合(男子と3試合、女子と2試合)を行った。まだ白星はあげていないが、2年生女子チームと延長タイブレーク1点差の接戦を演じるなどポテンシャルの高さがうかがえる。しかも全試合で5盗塁以上を決めるなど、走塁への意識は極めて高い。
チームを率いる山本益生監督は「まだ力がなくて、(硬式用)バットは思うように振れません。まずは捕って投げて走る。特に走塁からは逃げません。選手たちは得点する楽しさが徐々に分かってきたと思います」と手応えを口にする。
山本監督は高校野球でコーチや生徒募集を担当。かつて健大高崎のアドバイザーとして「機動破壊」を旗印に、“全国区”へ押し上げた葛原美峰氏から走塁指導を受けた経験がある。そのノウハウを惜しみなく選手に伝えている。
指導は細かい。アウトカウントによってリードの位置や距離を変えるほか、ハーフウエーを2種類設け、展開や打球位置によって使い分ける。細かく高度な指導に「選手たちは頭がパンクしそうになっているようですが、必死に食らいついてきています」と目を細める。

2025年は男子と腕磨き…目指す2026年の女子硬式全国制覇
この1年間は女子リーグに所属しない。「中途半端にしたくない。まずは1期生でチームのベースを作りたい」と理由を語る。今年出場するのはボーイズリーグの1年生大会「湾岸フレッシュ交流リーグ」のみ。男子チームと戦い、レベルアップを図る考えだ。
その先に見据えるのが2026年の全国優勝。「来年、全国制覇するんだと選手には言い聞かせています。日本一を目指す取り組みが後々役に立つのは間違いありません」と力を込める。
全日本女子野球連盟が主催する全国女子中学生硬式野球大会は、2015年に第1回大会が開催された。2024年の第10回大会には22チームが参加。和歌山、奈良、大阪の選手で構成された「ヤングレッドクイーンズ」が制している。
全国高校女子硬式野球選抜大会が東京ドーム、全国高校女子硬式野球選手権大会の決勝が甲子園で開催されるなど、注目度が高まっている女子高校野球。さらに発展していくには、中学女子の活性化も必要不可欠だ。
京葉ボーイズには女性コーチや女性理学療法士が常勤。専属の管理栄養士もおり、スポーツ栄養学なども指導している。オーナー兼球団代表の勝本俊朗氏は野球人口拡大策として、野球に精通した母親を増やしていきたいという思いを抱いている。明確な理念のもとに立ち上げられた京葉ガールズの戦いが今後、楽しみだ。
(片倉尚文 / Naofumi Katakura)
球速を上げたい、打球を遠くに飛ばしたい……。「Full-Count」のきょうだいサイト「First-Pitch」では、野球少年・少女や指導者・保護者の皆さんが知りたい指導方法や、育成現場の“今”を伝えています。野球の楽しさを覚える入り口として、疑問解決への糸口として、役立つ情報を日々発信します。
■「First-Pitch」のURLはこちら
https://first-pitch.jp/