キャッチボール＝肩慣らしは「危険」　小学生にお勧め…投動作の基礎作る“正対スロー”

「WIN Baseball School」スローイングコーチが“投動作”のスキルアップを伝授

　野球で最も必要なスキルが「投げる動作」だ。投手なら打者を打ち取る投球、野手ならアウトを奪う正確な送球――。簡単そうに見えて、実は“投げること”は一番難しい。兵庫の野球塾「WIN Baseball School」でスローイングコーチを務める高津将司さんは、「腕の根本、胸から投げる意識を持ってほしい」とアドバイスを送る。

　野球の基本となるキャッチボールを軽視してはいけない。NPBジュニアの監督やプロスカウトも「まずはキャッチボールを見る」と言うほど、重要なスキルの1つだ。子どもの頃に“悪癖”がつくと、中学・高校で取り返すのは難しくなる。

　これまで数多くの球児を指導してきた高津さんは「肩慣らしと考えるのは危険。ウオーミングアップではなく、全てトレーニングと思ってほしい」と、キャッチボールの大切さを生徒たちに伝えている。ただ、簡単そうに見えて難しい。特に野球を始めたばかりの子どもたちは、強引に腕だけで投げてしまうことが多いという。

　そこで、高津さんが推奨しているドリルが「正対スロー」だ。相手に正対し、両腕を前方に伸ばした状態からスタート。両足は肩幅程度に開いて固定し、体幹や胸の捻りを利用するのがポイントだ。投げる際、グラブの中にボールを入れて構えるのではなく、グラブの外からトップを作って、肩肘の角度を90度にしてから頭の後ろにボールが隠れるイメージを持つ。

「グラブの中からスタートすると、腕が下を回る動作が入り、トップを作るのが間に合わない選手がいるため、外から作っていきます。トップを作った際、頭の後ろにボールを隠すイメージを持つと、リリースまでの動線が長く作れて大きな力を発揮できます。リリースは顔の横ぐらい。前で球を離そうとすると肘抜け（肘が先に前へ出る動作）に繋がるので注意が必要です」

　投球、送球が安定すれば試合に出場できるチャンスは広がっていく。上のカテゴリーで野球を続けていくためにも、早い段階で基礎を身につけておきたい。

（橋本健吾 / Kengo Hashimoto）