NPBジュニア選考で重要な「小学生に苦なこと」とは? 配置転換で開花した“120m弾”逸材

中日ジュニアで2度優勝…湊川誠隆氏が明かす選考の「4つの判断材料」
ただ野球がうまいだけではプロ野球選手にはなれない。今年で21回目の開催を迎える「NPBジュニアトーナメント」は、12月26日から29日までの4日間、神宮球場と横浜スタジアムで開催される。厳しい選考を通過した精鋭小学生が集い、プロと同じユニホームを着てプレーする。監督として中日ドラゴンズジュニアを2度の優勝に導いた元中日の湊川誠隆さんに、自身が指揮官を務めていた際の選考の「4つのポイント」を聞いた。
「少年野球のうまい選手のポジションは、基本的に投手か捕手かショート。普段のポジション以外を守れるかどうかが大きなポイントになります」
チームを編成するからには、目指すは日本一。16人という限られた選手数の中で、バランスの良いチームを作るためには、複数ポジションを守れることが必須になる。湊川さんは「小学生にとっては苦になるし難しいことだけれど、NPBジュニアで試合に出るためには、普段はやらないこともできないといけない」と話す。
もちろん、それは選手の将来を見越してのことでもある。実際に、中日ジュニアでコンバートした選手がそのポジションで強豪高校のレギュラーを獲得したケースは少なくない。2021年大会で神宮球場の左翼スタンド中段に推定飛距離120メートルの本塁打を叩き込んだ小久保颯弥選手(現・仙台育英高)も、もともとは投手兼外野手だったが、中日ジュニアでは遊撃を守らせた。
日本一を目指す上で避けたいのが「ミス」だ。少年野球におけるミスの大部分を占めるのが悪送球。それを極力減らすため、湊川さんは選考でキャッチボールの良し悪しを重視したという。キャッチボールのうまい選手は「軸足にしっかり体を乗せて、頭が突っ込まないようにして投げることができる」。条件をクリアした選手を選び、大会までの約3か月の準備期間も守備練習に重きを置いた。

キャッチボール、ウオーミングアップ、実戦で見極める可能性
また、湊川さんは選手のウオーミングアップにも注目していた。あえて「何分後にダッシュをする」とだけ伝え、少し離れた死角から観察。団体競技では欠かせない積極性や自主性、協調性の有無が一目瞭然となり、それらも選考の判断材料とした。
そしてもう1つ求めたのが「実戦力」。湊川さんは「『練習ではすごい』という前評判の高い選手はたくさんいますが、実戦で相手にアジャストしないと意味がない」と指摘する。ヒットを打てなくとも、「自分のかたちで打てている」選手や「2打席目で修正できている」選手には可能性を感じるという。
湊川さんの中日ジュニア時代の教え子では、高木翔斗捕手(現・広島)がNPB入りを果たした。また今春の選抜で横浜高と智弁和歌山高にいる計3人の元教え子が決勝の舞台を踏むなど、将来が楽しみな選手も多い。高いハードルを越えた逸材たちが球界に羽ばたいている。
湊川誠隆さんも登場…NPBジュニア選考の“現場のリアル”を紹介!
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(川浪康太郎 / Kotaro Kawanami)
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