中学野球大会で「異例イベント」 保護者の負担もゼロ…全球児が肩肘と向き合った“4時間”

6月1日、明石トーカロ球場で行われた全国大会の関西予選で肩肘検診を実施
6月1日に行われたポニーリーグの「からだ接骨院カップ 第51回全日本選手権大会関西予選」で、全選手が対象となる無料の肩肘検診が行われた。この日は決勝戦ながら予選に出場した全チームが参加。これまで全国大会や大規模イベントなどで行われることはあったが、予選での実施は異例だという。
明石トーカロ球場で行われた決勝戦。グラウンドで全国大会出場に向け熱戦が繰り広げられる一方、球場内に開設されたブースには冷静に肩肘と向き合う選手たちがいた。決勝戦で“関メディ対決”を制し、全国大会出場を決めた「関メディベースボール学院中等部」の井戸伸年総監督は「勝負の厳しさ、そして将来に向け子どもたちの未来を作っていく。素晴らしい機会でした」と振り返る。
試合開始から閉会式までの約4時間。予選に参加した14チーム計200人ほどの選手がブースに入り、エコー画像を見ながら専門のトレーナーと共に自身の状態をチェックした。さらに、保護者向けにもマッサージスペースを用意し、日常の疲れを癒す場を提供した。
運営だけでなく予選での肩肘検診を実現させたのは、大会スポンサーで「からだ接骨院」を運営する株式会社「Rieden」の粟田裕太朗代表。ポニーリーグの理念でもある「国の宝である青少年の成長を守る」に共感し「大会をぜひ一緒に盛り上げたいとの思いから協賛を決めました。スポーツを頑張るすべての若者の健康と挑戦を応援し続けていきたい」と、今後も全面的に協力していくことを約束した。

参加全14チームに設けられた“個人賞”…野球用品が贈られた
この大会では肩肘検診だけでなく、選手のモチベーションを上げる初の試みも行われた。優秀選手賞、殊勲賞、敢闘賞などを設け、受賞した選手にはグラブや手袋といった野球用品が贈られた。優勝や上位チームだけでなく参加全チームから選出される仕組み。各チームの代表らがスポンサーを募ったため、保護者の負担はもちろんゼロだ。
協賛企業を集めた井戸総監督も「賛否両論はあると思います。ですが、子どもたちが頑張れる目標にもなります。肩肘検診もそうですが、歓喜もあり、楽しみもあり、喜びもある。子どもたちのために大人が動くのは当たり前のこと。野球の大会ですが、勝ち負けだけじゃない空間をこれからも作ることができればいいですね」と語った。
今回の試みは大会関係者や各チームからも好評で、今後も様々な大会でアクションを起こしていくという。大人が足を動かし、知恵を絞りながら未来の野球界を築いていく。
(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)
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