「送球は生まれ持ったセンスではない」 三塁名手実践…リリース感覚磨いた“寝転がりスロー”

日本ハム時代の小谷野栄一氏【写真提供:産経新聞社】
日本ハム時代の小谷野栄一氏【写真提供:産経新聞社】

現役時代に3度のゴールデングラブ賞を獲得した阪神・小谷野1軍打撃チーフコーチ

 正確なスローイングを習得するには、まずは指先の感覚を養うこと――。どんなに難しい打球を処理しても、安定感を欠く送球ではアウトを取ることはできない。守備力向上に励む球児たちに向けて、阪神・小谷野栄一1軍打撃チーフコーチは「自分で『これだ!』と思うことは、習慣づけてやってほしい」と語る。

 小谷野コーチは現役時代に日本ハム、オリックスでプレーし通算1394試合に出場。勝負強い打撃と堅実な守備で2010年には打点王とベストナインを獲得。守りでも三塁手として3度のゴールデングラブ賞に輝いた。内野手のなかで三塁手は長い距離を投げることが多く「捕球と同等、それ以上にスローイングは重要だった」と振り返る。

 送球は生まれ持ったセンスではなく、根気強く練習を続ければ必ず向上するという。小谷野コーチが子ども時代に習慣づけていたのが、天井に向けボールを投げる「寝転がりスロー」。仰向けに寝て、背中を地面に付けた状態で真上にボールを投げ、落ちてくるボールを捕球する。時間さえあれば「もう、永遠にやっていたぐらい」と、反復することでスローイング向上に繋がった。

「指先の感覚とスナップを意識していました。しっかりとしたリリースポイントで投げれば、顔の正面に真っすぐボールは落ちてくる。でも、それが合わなければ前後左右にブレてボールは安定しない。ボールを高く上げる力加減も分かってくる。あとは真上に投げるためには手首が立たないと投げられない。ボールの抜けも防ぐことに繋がるかもしれません」

 野球はカテゴリーが上がるにつれ、レベルも高くなり個々の目標は変化していく。ライバルとの競争や試合の勝ち負けなど、いつしか野球は楽しいだけのものではなくなってくる。それだけに、小谷野コーチは「一番は『好き』でいられることを心掛けてほしい。自分がどのような選手になりたいか。それを考えると、おのずと目標は変わってくる」と、未来の野球界を背負う子どもたちにアドバイスを送っていた。

(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

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