大型“双子バッテリー”が利き腕を変えた理由 小学低学年で決断…今も欠かさぬルーティン

宮城仙北中央ボーイズ・犬飼陽翔(左)と大翔【写真:片倉尚文】
宮城仙北中央ボーイズ・犬飼陽翔(左)と大翔【写真:片倉尚文】

宮城仙北中央ボーイズで活躍する中2双子バッテリー…犬飼陽翔&大翔

 14歳で身長185センチ&184センチ。中学硬式チーム「宮城仙北中央ボーイズ」の大型双子バッテリーが注目されている。兄の犬飼陽翔(はると)捕手は左利きだが、右投げに。一方、弟の大翔(ひろと)投手は右利きだが左投げにそれぞれ小学校時代に矯正したという。“以心伝心”のバッテリーは今後、どんな選手に成長していくだろうか。

 ボーイズの中学2年生以下による大会「第11回日本少年野球 ニッセイカップジュニア」は13日、準々決勝と準決勝が行われた。宮城仙北中央ボーイズは準々決勝で上里北武ボーイズに7-0で快勝。先発した184センチ左腕・大翔の好投が光った。「4番・投手」で出場し、4回を投げて1安打4奪三振無失点。「コースにしっかり投げられました」と振り返った。

 ただ、続く狭山西武ボーイズとの準決勝は1-8で完敗した。試合会場の埼玉・上里町に向け、仙台を午前3時に出発。準々決勝終了後に1時間弱のインターバルが設けられたが、午後に入って気温も湿度も上昇したこともあり、力尽きた感があった。準決勝に「4番・左翼」で出場した大翔は「もっとチームとしてスタミナをつけないと」と課題をあげた。

 2試合とも先発マスクを被ったのは兄の陽翔。「最後は握力もなくなってしまいました」と185センチの長身捕手は疲労困憊だったが、投手陣を懸命にリードした。2人は小学低学年で野球を始め、小4からリトルリーグ「利府ユニオン」へ。昨年の「インターミディエット全日本リトルリーグ野球選手権大会」では準優勝に貢献した。

捕手の兄・陽翔(左)と投手の弟・大翔【写真:片倉尚文】
捕手の兄・陽翔(左)と投手の弟・大翔【写真:片倉尚文】

小学低学年で変えた利き腕…欠かさなかったキャッチボール

 野球を始めた頃に、2人は“利き腕”を変えた。捕手を志していた陽翔は右投げに。投手を目指していた大翔は、左投げの方が有利と考えた。以降は2人によるキャッチボールが続いた。「来る日も来る日も2人でやっていましたね」と父の千好さんは語る。

 その習慣は現在も続いている。チーム練習がない日は、キャッチボールやトス打撃を欠かさない。お互いに打撃フォームをチェックするなどして切磋琢磨している。だからこそ、2人の呼吸は抜群だ。「ピンチの場面とかで、自分の投げたい球のサインを出してくれる」と大翔は陽翔に全幅の信頼を寄せる。

 中学1、2年生による宮城仙北中央は2022年9月に発足。昨年の日本選手権を制するなど全国屈指の強豪「宮城仙北ボーイズ」の弟分に当たる。今年の関東ボーイズリーグ大会ではオール2年生で3年生チームを撃破し、ベスト16に進出。貴重な経験を積んだ。

 青沼裕之監督は「公式戦に出ることで、プレッシャーや上の学年の圧力を体験できます。練習試合とは違います。選手はタフになると思います」と効果を語る。様々な経験を経て宮城仙北ボーイズに“昇格”する選手たちの躍動が楽しみだ。

(片倉尚文 / Naofumi Katakura)

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