真夏の試合増で起こる打撃の“悪循環” 大阪桐蔭主将が「絶好調」で甲子園に行けたワケ

大阪桐蔭元主将・水本弦氏が提案…バッティングの「間」を作る練習法
甲子園をはじめ、夏休みの時期は各カテゴリーで大きな大会が開催される。公式戦だけでなく、練習試合の機会も増える。大阪桐蔭主将として甲子園春夏連覇を果たし、現在は野球塾を運営している水本弦氏は、調整法を変更して臨んだ高校最後の夏に打撃で結果を残した。実戦が増える夏場にオススメの練習メニューがあるという。
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高校野球界では、夏の甲子園切符をかけた熱戦が各地で繰り広げられ、いよいよ本大会も始まります。私は大阪桐蔭高校を卒業して10年以上経ちますが、この時期になると当時を思い出します。
甲子園で春夏連覇を果たした2012年の夏、私は打撃が絶好調でした。大阪大会では打率6割を超え、甲子園でも4割以上を記録しました。実は前年の夏とは調整法を変更して、高校最後の舞台に臨んだことが奏功しました。
打撃練習で取り入れたのは「超スローボール打ち」です。打撃投手に山なりの球を投げてもらい、センターを中心に打ち返す練習を繰り返しました。練習の意図は「間(ま)」です。私は打撃で最も大切なのはタイミングだと思っています。どんなにスイングに強さや速さがあっても、タイミングが合わなければ安打になる確率は低くなります。投球にタイミングを合わせて、力を最大限に打球へ伝えるために必要なのが、「間の取り方」です。
速い球はバットの芯に当たれば反発力で飛距離が出ます。一方、緩い球は間を取って打たないと打球が飛びません。ごまかしが効かないわけです。しっかりと軸足に体重を乗せてスイングできているかどうかを確認する上で、スローボールを打つ練習は効果があると考えています。

スイングが縮こまる打者へ…フォロースルーでバットを地面につける練習を
2年生の頃は、球が速い投手に対応するため、打撃マシンの球速を速く設定して打つ練習をしていました。しかし、マシンの球速を上げて練習すると、機械に対応する打ち方になりがちです。バットに当てようとする意識が強くなり、トップの位置が浅くなります。
緩い球で間を取って打てると、速い球にも対応できます。超スローボールを打つ練習が、夏の甲子園での好結果につながったと考えています。スピードのある投手への対策をする場合は、マシンの球速を上げて見逃すだけの練習をしていました。速い球にも、しっかりと間をつくってタイミングを合わせる意識付けになります。
夏休み期間は大会に加えて、練習試合も増えます。私の場合、試合が多くなると、結果を求めてスイングが小さくなる傾向がありました。また、空振りを避けようとして必要以上に目で投球を追ってしまい、上体が前に突っ込んでしまう選手も多く見られます。
そんな時に効果的なのが、スイングのフォロースルーでバットを地面につける打撃練習です。体が突っ込んだ状態でスイングすると、フォローでバットを地面につけることができません。バットを振り終わった形を決めることで、スイングの過程を修正する考え方です。これにより体の軸が安定して、背筋を使った力強いスイングが可能になります。夏の練習に悩んでいる選手や指導者の皆さんの参考になればうれしいです。
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(水本弦 / Gen Mizumoto)
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