中1が木製バットで外野越え大飛球 硬式球を“攻略”…日本一軍団が夜間に行う特別練習

ポニー全日本選手権&1年生大会で優勝した高崎中央…際立った強打
今年の中学硬式野球ポニー全日本選手権では、“高崎中央旋風”が巻き起こった。昨夏にボーイズリーグから移籍し、初出場で第51回全日本選手権&1年生による第49回ブロンコ大会を共に制した。ブロンコ大会では木製バットの使用が義務付けられているが、優勝した「高崎中央ポニージャイアンツJr.」は計5試合で39得点と猛打を振るった。
高崎中央はブロンコ大会に「ジャイアンツJr.」「ネクストJr.」の2チームが出場。Aチームに当たる前者が優勝、Bチームの後者が8強入りした。「ジャイアンツJr.」は7月23日に行われた江東ポニーJr.との決勝戦に10-4で快勝するなど、活発な打棒を武器に頂点に立った。
学童で軟式に取り組んだ選手たちが、中学で硬式に転じて戸惑う要素の1つがバッティングだろう。バットもボールも重くなり、腕力だけでは遠くに飛ばせなくなる。加えてポニーでは、1年生大会などで木製バットを採用している。外野の頭を越えるような打球を打つことは困難を極める。
巨人の野球振興部長で、高崎中央では総監督&トップチームの監督を務める倉俣徹氏は「手打ちでは飛ばないし、芯を外すとひどく手がしびれます。ですが、大学以降は木製が使用されます。バッティングの基礎を築く意味でも、この年代での木製バット使用は意義があると思います」と強調する。

夜間練習で励行する“ソフトボール打ち”
高崎中央では、強い打球を飛ばせるように週に1度、特別練習を実施している。硬式球よりも重い“ソフトボール打ち”で、「夜間練習で取り入れています。ソフトボールは芯に当たらないと飛びません。体を大きく使うようになりパワーも付くので、相乗効果も期待できます」と話す。
決勝戦に「2番・二塁」で先発、5回途中から3番手で登板して“胴上げ投手”にもなった南場朝日は6回に特大の左越え適時二塁打を放った。「打った瞬間に外野の頭を越えたと思いました。木製バットはボールが弾かないですけど、リストも利かせてコンパクトに強く振るように意識しています」と語る。チームを率いた黒澤光監督も「思い切り振ることを選手がだんだん覚えてきたと思います」と効果を実感した。
強いスイングを自然と習得できるソフトボール打ち。強力打線構築へ、練習に取り入れるべきメニューかもしれない。
(片倉尚文 / Naofumi Katakura)
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