最速138キロの中3逸材に起きた“異変” まさかの制球難も…一夜で悪癖を直せたワケ

11年ぶり出場の日本選手権で4強入り…浦安シニアを牽引した皆川将大
8月1日から6日まで行われた「エイジェックカップ第53回日本リトルシニア日本選手権」で、11年ぶりに出場した浦安シニア(千葉)が4強入りを果たした。立役者の1人が最速138キロ右腕・皆川将大投手だ。救援登板した1回戦では制球を大きく乱したが、2回戦以降は復調。フォーム修正が奏功し、大会の優秀選手に選出された。
皆川は身長179センチ、体重73キロの本格派右腕。実戦では最速138キロを計測、U-15日本代表のセレクションでは141キロをマークしたという。U-15代表には選出されなかったが、さらなる進化を目指して着手したフォーム改造が裏目に出た。
1日の白山シニア(石川)との1回戦で救援登板したが制球が定まらず、1回1/3を投げて3四球。再び先発投手にマウンドを譲った。芝崎義男監督は「より速い球を投げようとしてボールが上ずっていましたね」と心配顔だった。
しかし、翌2日の中野シニア戦(長野)に先発した皆川は“別人”。6回を投げ無四球3失点で勝利に貢献した。さらに5日の世田谷西シニア(東京)にも先発。5回まで投げて試合を作った。6-7で無念のサヨナラ負けとなったが、3連覇を成し遂げた強豪を追い詰めた。
気付いた不調の理由…膝の割れ修正して本来の投球を披露
皆川によると、U-15代表から漏れて以降、より速い球を求めて意識的に腕の位置を高くした。ところが逆に、球が走らなくなり、制球にも乱れが生じたという。
そこで、1回戦後にフォーム修正に着手。映像を何度も見返し、踏み出し足(左足)が外側に割れていることに気付いた。軸足から踏み出し足へ体重移動する際、膝が割れてしまうと力が分散されて球速は上がらないし、制球も定まらない。シャドーピッチングを繰り返して一夜で修正、本来の投球を披露した。
「(1回戦は)ボールが抜けていましたが、(2回戦以降は)叩けるようになりました。真っすぐで空振りを取れる投手を目指していきたいです」。打者としての能力も高い逸材。高校での活躍が楽しみだ。
(片倉尚文 / Naofumi Katakura)
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