中2集団が1学年上を相手に“快進撃” 元G名手の指揮官が説く…ミスした後の切り替え方

多摩川ボーイズナイン【写真:磯田健太郎】
多摩川ボーイズナイン【写真:磯田健太郎】

巨人U15の「多摩川ボーイズ」を率いる片岡保幸監督

 中学硬式野球の日本一を決める「第19回全日本中学野球選手権大会 ジャイアンツカップ」で、初出場の多摩川ボーイズ(ジャイアンツ U15 ジュニアユース、東京)が4強入りした。12日の1回戦では横浜都筑リトルシニア(神奈川)に7-5で勝利。失策から失点を許し、追う展開が続いたものの、片岡保幸監督に焦りはなく、選手たちに試合を託し、逆転勝利を収めた。盗塁王に4度輝くなど走攻守揃った内野手として活躍した指揮官が説く、失策後の“切り替え方”とは。

 波乱のスタートだった。3回に三塁・小林航が正面のゴロを捕球後、ボールが手につかず、先頭打者の出塁を許す。安打と犠打で繋がれ、スクイズと適時打で2点を先行される展開になった。

 昨年発足したばかりで中学1、2年生だけの若いチーム。ずるずる失点を重ねてもおかしくない展開だった。しかし、「試合中に一喜一憂しないということを普段から伝えているので。(小林は)次の回にも打席が回ってくるところだったので、そのまま送り出しました」と片岡監督は振り返る。

 監督が寄せる信頼に、選手も応えた。「ミスした選手に明るい声をかけることを大事にしているので、とにかく自分から声や元気を出して切り替えました」と小林が語る通り、直後の3回裏の打席で左前打。4回にも安打を放ち、1点を追う6回には四球を選びガッツポーズを見せベンチを鼓舞した後、隙を見て二塁へ一気に到達した。失策を引きずらず、チームを牽引した。

多摩川ボーイズ・片岡保幸監督【写真:磯田健太郎】
多摩川ボーイズ・片岡保幸監督【写真:磯田健太郎】

選手に響く元侍J戦士の体験談

 片岡監督も、現役時代は西武と巨人で二塁手として活躍し、野球日本代表「侍ジャパン」の一員としてWBCに出場するなど、緊迫した場面で何度もプレーしてきた。失策した際の心構えについて、「局面によっては引きずることもありましたけど、割り切らないと前に進まないので。そういうことも体験談として普段から伝えています」と話す。

 大舞台を戦い抜いた“生きる教材”の指導のもと、選手たちは日々鍛錬を続ける。「(指導が選手たちの)頭に入ってるかわからないですけど」とジョークを飛ばしながら、「練習試合でも終盤に追い上げることが増え、最後まで粘り強く戦えるようになってきている」と成長に目を細める。かつての名手がかけがえのない体験を伝え、次代のスターを生み出していく。

(磯田健太郎/Kentaro Isoda)

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