「うちの子には早い」の思い込みは“成長の妨げ” 上達の可能性を摘む大人のNGワード

大人が持つべきは「引き出し」 野球講演家・年中夢球氏が語る指導の鍵
何気ない言葉で、子どもたちの成長を止めているかもしれない。少年野球の現場で20年以上の指導経験を持つ野球講演家の年中夢球(ねんじゅう・むきゅう)さんは「まだ低学年だから、まだ小学生だから」という言葉を、現場でよく耳にするという。こうした言葉は一見、配慮のように思えるが、実は子どもの可能性や成長の芽を摘んでしまうことがある。個々の能力は学年や年齢だけでは判断できないからだ。
例えば低学年の子どもでもグラブトスができるようになれば、どんどん挑戦させるべきだという。「グラブトスはまだ早い」といった言葉で制限してしまうと、できることが否定され、成長が遅くなってしまう。子どもの技術的な成長は、個々の能力に大きく左右されるため、学年だけで判断するのではなく、その子の現在の能力に合わせた指導が重要となる。
「その子にできているのならば、どんどん先のことを、どんどん教えた方がいい」と年中夢球さん。一律の練習メニューにこだわっていると、子どもの成長スピードについていけなくなる。上達している時こそ、次のステップを見据えた指導が求められる。
そして、保護者や指導者は、子どもが今いる学年より1つ上のステージの指導法も、先取りで学んでおくことが大切だとも語る。そうすれば成長した時に慌てることなく対応でき、スランプや悩みが生じた時にもすぐにサポートできる。「うちの子にはまだ早いです」という考えから一歩踏み出し、子どもの可能性を広げる姿勢をもちたい。
大切なのは個々の能力に応じた指導だ。今はできなくても来年や再来年にはできるようになるかもしれない。まだ難しい技術でも、選手によってはもうできるかもしれない。指導者は子どもたち1人1人に合わせて、様々な指導スキルの引き出しを持っておくことが求められる。それが個々の野球技術の可能性を最大限に引き出す鍵となるだろう。
(First-Pitch編集部)
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