スマホ時代に“子どもの目”をどう守る? 今すぐ実践できる近視予防と30分ルール効果

電子機器から子どもの目を守るためにできる対策とは(写真はイメージ)
電子機器から子どもの目を守るためにできる対策とは(写真はイメージ)

デジタル時代の目を守る生活習慣

 現代の子どもたちは、過去に例のないほどデジタル機器に囲まれて育っている。特に中学生になってスマートフォンを持つようになると、長時間の使用が避けられない。デジタル時代の目を守るために、家庭でできる具体的な対策とは何か。メニコン研究員の平田ひかる氏に推奨する生活習慣を聞いた。

 日本眼科医会は、デジタル機器使用に関する明確なガイドラインを示している。「近くを見るときは30センチ以上離す」「30分近くを見たら、20秒遠くを見て目を休ませる」「1日2時間、屋外で過ごす」の3つだ。しかし、現実的にこれらを守るのは容易ではない。

 特にスマートフォンやタブレットの使用には注意が必要だ。「スマホやタブレットのように近距離で見るデジタル機器は目への負担が大きいです」と平田氏は心配そうに話す。また、寝転がってスマートフォンを見ると、目とスマートフォンの距離が右眼と左眼で差が出てしまうので斜視になるリスクがあるとのことだ。

 一方で、テレビでの視聴は比較的負担が少ない。「テレビは2メートル程度の距離が取れて、真正面で見ることができるので、スマホで見るよりも負担が少ない」。YouTubeやゲームも、可能であればテレビの大画面で楽しむことを推奨している。

 最も効果的とされるのが屋外活動だ。世界各国の研究で一貫して報告されているのは、外で遊んでいる時間が長い人ほど近視が進みにくいという事実だ。木陰で休むだけでも良いという。

メニコン研究員の平田ひかる氏【写真:編集部】
メニコン研究員の平田ひかる氏【写真:編集部】

「30分見たら20秒遠くを見る」ルール

「屋外活動の何が効いているかは完全に解明されていませんが、近くを見る時間を減らすよりも、むしろ強いデータとして示されています」
 台湾では実際に成果を上げている。国策として1日一定時間の屋外活動を学校のカリキュラムに組み込んだところ、その後に近視の罹患率が実際に下がった。このような政策的な取り組みの効果も実証されている。

 家庭での対応も重要だ。中学生がスマホを長時間使用することへの保護者の不安は大きいが、「やめなさい」というネガティブな言葉よりも効果的な方法がある。

「デジタル機器を完全になくすのは現実的ではありませんが、30分見たら20秒遠くを見るという基本的なルールを守っていただくことから始めてみてください」と平田氏はアドバイスする。

 親の言葉だけでは聞いてくれないことも多いため、眼科の先生や野球であればコーチなど、第三者の力を借りることも有効だ。また、「おやつを食べよう」「外に行こう」といった別の活動に誘導する方が、禁止するよりも効果的とされている。

 デジタル機器との付き合い方を見直し、適切な距離感を保ちながら屋外活動を増やすこと。これらの小さな変化の積み重ねが、子どもたちの目の健康を守り、将来の眼の疾患リスクを軽減することにつながる。親子で一緒に取り組める身近な対策から始めてみてはいかがだろうか。

(楢崎豊 / Yutaka Narasaki)

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