打撃フォーム変更で「よく見えるように」 “棒立ち”で不振→悩める大砲を復調させた低重心

準々決勝で逆転打を放った世田谷西リトルシニア・浅田宋次朗【写真:磯田健太郎】
準々決勝で逆転打を放った世田谷西リトルシニア・浅田宋次朗【写真:磯田健太郎】

ジャイアンツ杯で打率.455…「世田谷西シニア」の優勝に貢献した浅田宋次朗

 中学硬式野球の強豪「世田谷西リトルシニア」(東京)の勢いが止まらない。今年は春のシニア全国選抜大会を手始めに、今月上旬のシニア日本選手権、中旬の「第19回全日本中学野球選手権大会 ジャイアンツカップ」を制して“全国3冠”を達成した。チームの中軸を担う浅田宋次朗内野手(3年)は4番から6番に“降格”したジャイアンツカップで打率.455(11打数5安打)をマーク。フォーム修正が功を奏した。

 浅田は左投げ左打ちで身長182センチ、体重87キロの堂々たる体格を誇る。強打の一塁手として主に4番を任されてきたが、シニア日本選手権では自慢のバットが湿った。チームは3連覇を達成したものの、不完全燃焼の打棒。ジャイアンツカップでは6番に降格した。

 吉田昌弘監督に指摘されたのは構え方。「フワッと構えている」とアドバイスを受け、修正を試みた。「棒立ちのような状態だった構えを変えました。太ももに負荷がかかる感じで少し膝を曲げて……下半身を意識してどっしりした構えにしました。すり足でしっかり軸足(左足)に前の足を寄せるような感じでテークバックしています。これがはまったと思います」。

 構えの修正は「吉」と出た。ジャイアンツカップでは5試合で11打数5安打6打点。2本の三塁打を放つなど打ちまくり、優勝の立役者となった。「ボールがよく見えるようになって、ラインにバットを入れられるようになりました」とうなずいた。

逆転打を放ち、三塁上で感情を爆発させた【写真:磯田健太郎】
逆転打を放ち、三塁上で感情を爆発させた【写真:磯田健太郎】

兄も双子の弟も追う白球…シャトル打ちで培った打棒

 2年ぶり4度目の頂点に立ったジャイアンツカップで、最大のヤマ場となったのは14日に行われた北摂リトルシニア(大阪)との準々決勝だった。1-1で迎えた4回に3点を奪われ、追う展開に。しかし、続く5回2死から底力を発揮した。1点差に迫り、なおも2死一、二塁で浅田が逆転の中越え2点三塁打。チームを救う一撃だった。

 1-1の同点で迎えた4回の打席では、無死一、二塁で初球に手を出して二飛に倒れた。中途半端な打撃内容に吉田監督から「ちょっとそれは違うよ」と“注意”を受け、次の打席で生まれた快打。「とにかく思い切りのいいスイングをしようと思いました。自分のスイングができました」と声を弾ませた。

 4人兄弟の次男。兄は岩倉高2年で野球部、双子の小学5年の弟も白球を追う“野球一家”だ。自宅近くの公園で弟らと自主練を行うのが日課。壁当てをしたりシャトル打ちをしたり、日々の努力の積み重ねが活躍の源になっている。

 28、29日には中学硬式5団体の覇者によるトーナメント「3rdエイジェックカップ 中学硬式野球グランドチャンピオンシリーズ」が行われる。年間4冠の偉業へ、浅田のバットがカギを握る。

(片倉尚文 / Naofumi Katakura)

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