外野フライで“瞬時の判断”はNG　大惨事回避へ…打球怖い子もできる「ボールなし練習」

ゴールデン・グラブ賞4度…坂口智隆氏が伝授する「外野手のスタートのコツ」

　外野手の打球判断は、一歩間違えれば“大惨事”になりかねない。捕球できなければ長打になる可能性もあり、失点のリスクは高まる。近鉄、オリックス、ヤクルトで計20年間プレーし、ゴールデン・グラブ賞を4度受賞した坂口智隆氏は「早く動きすぎないことが大事」とアドバイスを送る。

　強烈なライナーや高く上がったフライの落下位置を瞬時に判断するのは難しい。後退なのか前進なのか――。1歩目の動きや予測は大事と言われるが、坂口氏は「バットに当たった瞬間に体を左右にきるイメージがありますが、しっかり打球を見てから動くことを意識していました」と現役時代を振り返る。

　打球速度も尋常ではないプロ野球の世界だが「うまい選手ほど、1歩目はそこまで早くない」と語る。打球が飛んでくる前に動き出すと、間違った判断をした際にリカバリーできず長打にしてしまう可能性が高まる。まずはリスクを最小限に抑えることを心掛け、確実にアウトにする安心感を指導者に与える必要があるという。

　フライを怖がる野球初心者や小学生は多い。そこで、坂口氏が打球判断を磨くトレーニングとして推奨しているメニューが、ボールを使わない「タッチ＆ゴー」だ。

　指導者はしゃがんで両手を叩き、その後に左右どちらかの指で進む方向を指示する。選手は指示された方向にスタートをきるだけ。両手を叩いた時の「パン」という音が打球音で、ワンテンポ遅れた指示は打球方向を判断する時間と捉えている。

　坂口氏はプロ入りした後、本格的に外野に挑戦。入団当初はこの練習を何度も繰り返していたという。「まずは落ち着いて打球を見ること。余裕を持って判断できるようになれば、成長とともに動きも速くなっていきます。あとは数と経験をたくさん積むことです」。派手な美技に隠れた堅実な守備こそが、長く現役を続けられた理由の1つだ。

（First-Pitch編集部）