途中交代の選手と“笑顔で対話” 中学生教えて1年半…元首位打者が求め続けた「姿勢」

東北楽天シニアで監督を務めた土谷鉄平氏【写真:片倉尚文】
東北楽天シニアで監督を務めた土谷鉄平氏【写真:片倉尚文】

2024年1月から楽天シニアを率いた土谷鉄平氏は日本選手権を最後に退任

 8月1日から6日まで行われた「エイジェックカップ第53回日本リトルシニア日本選手権」で、東北楽天シニアが8強入りした。この大会限りで退任した土谷鉄平監督は、野球に取り組む姿勢を重視し、選手と向き合ってきた。

 楽天シニアはプロ野球「楽天イーグルス」の下部組織として2015年に発足した。現役時代に中日、楽天、オリックスでプレーし、2009年に首位打者のタイトルを獲得するなどNPB通算878安打をマークした土谷監督は昨年1月に就任。昨年は全国選抜大会で4強入りし、ジャイアンツカップにも出場した。

 今年も全国選抜大会に出場、集大成として臨んだ日本選手権でも力を発揮した。1回戦で守山シニア(滋賀)に8-4で勝ち、2回戦では過去に2度日本選手権を制している中本牧シニア(神奈川)を6-5で撃破した。神宮球場で行われた準々決勝で、大会3連覇を飾った世田谷西シニア(東京)に2-7で屈したものの「よく戦ってくれました。全国トップの力を選手は肌で感じたと思います」と称えた。

 監督に就任して以降、野球に取り組む重要性を選手に説いてきた。「多くのプロ野球選手を見てきましたが、成功した選手は一様に取り組む姿勢が素晴らしい。そうでなければ伸びないし、評価されないと思います。技術以前に重要なことだと思います」と強調する。

 試合中にミスしても下を向くことなど不要。そうしたことを試合中でも説明してきた。神宮球場で行われた世田谷西との準々決勝で印象的なシーンがあった。二塁でスタメン出場した2年生選手が中途半端な打撃で三振。途中交代となると、その選手とベンチで長く会話を交わした。笑顔でのやり取りだった。

「神宮での試合ですし、彼にとって忘れられない試合になったと思います。こういう舞台で大事なことを伝えました。気付いたことはなるべく早く選手に伝えるようにしてきました」と語る。

 土谷監督からバトンを継ぐのは、やはり楽天OBの聖澤諒氏。この大会ではスコアラーとしてベンチに入り、チームをサポートした。チーム発足から10年が経ち、着実に実績を残し続ける楽天シニア。今後の成長が楽しみだ。

(片倉尚文 / Naofumi Katakura)

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