初心者も夢中で“投球動作”が上達 狙いすぎはNG…プロが伝える「的当て」の相乗効果

ソフトバンクイベントで実施の“ストラックアウト”、子どもに与える効果とは
子どもたちにスポーツの楽しさを伝える上で「競技性」は欠かせない要素だ。ソフトバンクは8月17日、PayPayドームで子ども向け交流イベント「九州スポーツキッズキャラバン Supported by ローソン」を開催。集まった子どもたちが熱中していたコーナーの1つに「ストラックアウト」があった。高橋純平アカデミーコーチらが担当し、勝負の要素を取り入れた楽しい環境を準備していた。アンバサダーを務めた球団統括本部付アドバイザーの和田毅さんも“投球”を披露するなど、盛り上がりを見せた。
投球動作のエリアでは県岐阜商時代に注目を浴び、ソフトバンクでプレーした高橋さんらが指導。子どもたちが2組に分かれ、早く9つのマスを抜いたチームが勝利になる。野球経験者、未経験者を問わず全員が夢中になり、勝ったチームからはガッツポーズと大きな歓声が上がった。負けたチームからは「もう1回、もう1回」と懇願する声が聞こえた。
高橋さんは「何か目的がしっかり明確にあった方が楽しいし、スポーツに集中できる」と普段のアカデミーでの指導から取り入れている内容だという。特にストラックアウトなどの的当てゲームは、単純な技術練習よりも明確な“目標”があるため、子どもたちの集中力は高まる。ストラックアウトでなくとも、小さめのコーンやパイロンを用意して、それを地面(または台の上)に置いて並べるでも、同じような効果は得られる。
もちろん、実際に投げるまでには肘の位置などのフォーム指導も必要になってくる。この日のイベントは野球だけでなく複数のスポーツを楽しんでもらうことを目的としていたため、細かな投球技術指導までは行わなかったが、普段からは「グラブを投げたい方に向けて、向けたところにちゃんと腕を振っていく」という基本を重視しながら、全身運動としての野球を教えている。
「狙ったところを狙いすぎると、どうしても縮こまってしまう」ため、大きな枠の中で思い切り腕を振る指導も欠かさない。最初は的を大きく外れても、徐々に精度が増していく過程で、子どもたちは達成感を味わえる。技術習得だけでなく、スポーツの醍醐味である「挑戦」の精神を育める。
同イベントは「ファイト!九州プロジェクト」および球団誕生20周年記念事業の一環として実施。5月から九州・沖縄9会場で行われ、最終回のこの日は小学生約200人が参加した。和田さんをはじめ、新垣渚さん、嘉弥真新也さんらホークスジュニアアカデミーのコーチ陣が参加した。
高橋さんは「引退された和田さんと一緒にこれまで(九州を)回ってきたんですけど、いろんなスポーツの方とも触れ合いながら、野球の原点でもある“運動を楽しむ”というところを広めていけてるんじゃないかなと思います」と話すなど、子どもたちの潜在能力を最大限に引き出し、スポーツへの情熱を“点火”させる働きかけを行っていた。
(楢崎豊 / Yutaka Narasaki)
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