投球後にフラつくのは「前足」の我慢不足 理想のフォームへ導く米国式“タオル練習”

投球で大切な「前足で止める」動作を教える方法とは(写真はイメージ)
投球で大切な「前足で止める」動作を教える方法とは(写真はイメージ)

米国で活動するコーチが推奨…ボールを投げずに劇的に変わるフォーム改善ドリル

 小学校低学年の子に多く見られるのが、下半身の体重移動を受け止められず、上半身の勢いだけで投げてしまうこと。正しいフォームが身につかず、肩や肘を痛めてしまうリスクも高い。米国ニュージャージー州で少年野球チームやアカデミースクールを運営する「High Heat BaseBall」代表の新谷信明さんは、ボールを極力投げずに上達する効果的な投げ方指導法を実践している。

 新谷さんが最も重視するのは、体重移動の際に「前足(ステップ足)で止める」意識だ。投げる時に勢いで前に突っ込んでしまう子が多いため、いきなり投げさせるのではなく、投球動作の最後にきちんと“体を止める”練習を優先的に教えている。

 まず、ステップ足を前に出してトップの形を作った体勢から。右投げの場合、軸足(右足)のかかとと、ステップ足(左足)のかかとを合わせ、そこから前に真っすぐステップ足を出す。上半身は「S字」のパワーポジションを作る。その形を決めてから腕を振り、前足でしっかりフィニッシュする。「振り終わったら前足1本で3秒頑張る」ことで体のブレを防ぐ感覚を身につける。

 次の段階では、幅の狭い板の上や縁石のような場所の上を使って、バランスを取りながら同じ動作を行う。これができるようになったら、両足を閉じた体勢から投げる実際の投球動作へと近づける。右投げの場合、投げ終わりに三塁側に倒れる癖のある子どもも多いが、前足に体重を乗せて、しっかりフィニッシュの形を作ることが重要だ。

 注目すべきは、実際のボールを使わないところ。タオルや、穴を開けて空気抵抗を減らしたウィッフルボールを使うことで、体の負担を軽減する。タオルを使う場合、慣れてきたら強く腕を振り、風を切る音が鳴るくらいの力を込めると良い。

 新谷さんのレッスンでも、小さい子の場合「実際にボールを投げるのは30分のレッスンの最後5分、10〜15球程度だけ」と語る。野球肘は米国でも大きな懸念事項で、多くの親が子どもの投球数を気にしている。試合中に「もう70球投げているから、今日はこれ以上投げさせないで」と親が申し出ることもあるという。少ない球数でも効率的に技術を向上させるこの練習法は、肩や肘への負担を減らしながら正しい投球フォームを身につけるための理想的な方法と言えそうだ。

(First-Pitch編集部)

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