「打率急低下」の原因は乱視? “天性の勘”にリスクも…子どもの「異変」に気づく5兆候

少年野球の現場で保護者や指導者が気づくべき”サイン”とは(写真はイメージ)
少年野球の現場で保護者や指導者が気づくべき”サイン”とは(写真はイメージ)

我が子の乱視に気づくには? 保護者・指導者が知っておきたいサインと対処法

「ボールが見えにくい」。子どもがこう訴えることは意外と少ない。見えていないことに本人が気づいていなかったり、それが普通だと思っていたりするケースも多い。しかし、見えていないままプレーを続けると、技術の成長を妨げるだけでなく、自信喪失につながる可能性もある。9月30日に行われたジョンソン・エンド・ジョンソンのコンタクトレンズ「アキュビュー(R) 乱視用」のイベントで、少年野球の現場で保護者や指導者が気づくべきサインについて、北里大学医療衛生学部の半田知也教授が解説。また、コンタクトレンズを検討するタイミングについて、同社ビジョンケア マーケティング担当の安ヵ川たまみ氏が語ってくれた。

 プロ野球選手の場合、乱視による視力矯正が必要な選手は2割程度だが、カテゴリーが下がるにつれてその割合が高くなる傾向があるという。中学の一般的な野球部、小学校の学童野球になると、視力に問題を抱える子どもも一定数いる。「少年野球レベルでは、目の度数が悪い選手が多い」と半田教授。だからこそ保護者や指導者の観察が重要になる。

 では10代の選手で、保護者や指導者が乱視の可能性を疑った方がいいという特徴的な動作はあるか。半田教授は具体的なサインを5つ挙げた。

【サイン1】感覚で打っている
「ボールを見ずに打っている、感覚で打っている」選手。一見すると天性の勘の良さに見えるかもしれないが、実は見えていない可能性がある。

【サイン2】見ているのにずれる
 逆に、「ちゃんと見て打っているのに大きくずれていることが続く」場合も視力の問題を疑ってみたほうがよい。

【サイン3】捕手のサインが見えない
「ピッチャーの距離からサインが見えていない」ことも重要なサインだ。マウンドから捕手のサインが見えるかどうかを確認してみよう。

【サイン4】打率の急激な低下
「打率が急に悪くなった」時も要注意だ。技術的な問題と思われがちだが、視力の変化が原因の場合もある。

【サイン5】特定の球種が打てない
 特定の変化球だけ対応できないなどの傾向がある場合、乱視のタイプやその他の視覚関連要因が影響している可能性がある。

 さらに半田教授は左右の視力差の影響も指摘した。「左右の視力差があると体のバランスも崩れる。利き目が見えないと特にバランスに影響します」。利き目の重要性は大きく、適切な矯正がプレーの安定につながるのだ。「見えづらそうだったら、打率が悪くなったら、早めに眼科を受診してほしい」と半田教授はアドバイスしてくれた。

「アキュビュー」のイベントに参加したフリーアナウンサーの木佐彩子さん【写真:大橋礼】
「アキュビュー」のイベントに参加したフリーアナウンサーの木佐彩子さん【写真:大橋礼】

コンタクトレンズはいつから…選択のポイント

 コンタクトレンズの開始時期については安ヵ川氏に尋ねた。「明確な年齢制限はない」というのが基本的な考え方だが、重要な条件があるという。

「眼科の先生もおっしゃっていますが、自分でレンズの洗浄などケアができることが1つの目安です」。2週間タイプのコンタクトレンズ(最長14日間使用できる使い捨てレンズ)は洗浄が必要で、これが不十分だと感染症のリスクがある。そのため、小・中学生には1日使い捨てタイプも選択肢になる。洗浄の手間がなく、衛生的に使用できるからだ。

「以前より確実に近視・乱視が若年化している」傾向があることから、「スポーツをしている状況なども含めて眼科医に相談し、適切な矯正で学校生活やスポーツをより充実させてほしい」と安ヵ川氏。眼科医の判断にもよるが、適切な管理ができれば、小学生でもコンタクトが使用可能なケースはあるという。

 中学・高校と競技レベルが上がり、より激しい動きが求められる野球環境では、乱視用コンタクトレンズの使用も、眼科医と相談しながら検討したい。半田教授は、「眼鏡やコンタクトレンズをつけると目が悪くなる、という考えは完全に誤りです」と断言した。

 プレーの後で関節が痛いといえば、保護者がすぐに子どもを病院に連れていくだろう。しかし、視力に関しては痛みなどがなく、見づらい・見えにくいことも小・中学生では認識できなかったり、周りの大人になかなか言わなかったりする。それだけに、保護者や指導者が子どもの様子を日常生活も含めて注意深く見守り、違和感があれば本人に話を聞いて、そして専門医の診断を受けることが大切だ。

 視力の低下に対しては適切な矯正によって、野球のパフォーマンスだけでなく、学習効率や日常生活の質(QOL)も向上する。まずは眼科を受診し、専門家のアドバイスを受けることから始めよう。

(大橋礼 / Rei Ohashi)

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