小学生に教えたい…キャッチボールの質を高める“コツ” 強豪3チームに学ぶ投球動作の秘訣

キャッチボールは打撃向上にも繋がる…元プロ指導者が語る理由とは
小学生時代の投球動作の習得は、その後の野球人生を左右しかねない重要な土台だ。強豪学童チームでは、怪我のリスクを減らし、力を効率よく伝えるための基本動作をドリルで徹底している。First-Pitchで取材した全国出場経験のある小学生チームでの投動作ドリルや、キャッチボールをどのような意識で行っているのかを紹介したい。
・肘が下がり、下半身を使えない投げ方をどう直すべきか。
・上半身と下半身の連動をどうやって習得させればよいか。
・キャッチボールの質を高めるために、どんな意識が必要か。
全国大会に7度出場し、準優勝経験もある愛知の古豪・守山ボーイズでは「小学生で覚えた投げ方は一生もの」と、基本指導を徹底している。特に課題となるのが「肘が下がったフォーム」や「下半身を使えていない動き」だが、チームでは下半身の使い方を覚えるドリルを伝統として導入。例えば、両手を水平に保ち下半身主導で投げる練習や、軸足の内側に力をためて体重移動する練習、両腕を回す勢いを軸足に乗せて投げるドリルなどだ。体の使い方を理解しにくい低学年でも、楽しみながら理想の投げ方を習得できる。また、リリースポイントが定まらない選手には、ワンバウンド送球で感覚を養わせるなど、修正ポイントもチーム内で共有しているという。
同じく全国準V経験のある愛知・北名古屋ドリームスでは、特に小学3、4年生の「ゴールデンエイジ」の指導に力を入れている。怪我につながる「肘の下がった投げ方」には特に注意を払う。投球ドリルは3段階に分かれ、上半身の捻り(肩の入れ替え)、「前→後→前」の体重移動、そしてそれらを合わせた上・下半身の連動を順序立てて習得させる。さらに、名物練習の「三角キャッチボール」では、素早い握り替えや正確な送球など、野球に必要な要素を複合的に鍛える。岡秀信監督も、この年代で逆シングルなどの「技」の引き出しを増やす重要性を述べている。
今夏の「全日本学童軟式野球大会マクドナルド・トーナメント」に初出場した兵庫・明石ボーイズジュニアの筧裕次郎総監督(元近鉄、オリックス)は、キャッチボールを「野球の全てに繋がる」と最重要視している。単なる肩慣らしではなく、1球ごとに目的意識を持つことが大切だとし、投げ手は相手の胸を狙う正確性を、受け手は捕球から送球への素早いステップを意識する。キャッチボールの際、リリースポイントやボールの握りを注視する癖をつけておけば、打席での投手の球種予測などにも応用できるようになるという。幼い頃からの「気付く、知る」習慣づけが、将来の上達につながると語っている。
日々の“反復練習”になりがちなドリルやキャッチボールも、目的を明確にすることで選手の成長を促す機会となる。経験豊富な指導者たちのアプローチを、現場で応用できるヒントとして活用してみてほしい。
・下半身主導で投げたり、軸足の内側に力をためる体重移動ドリルで改善を図る。
・上半身の捻りと体重移動を段階的に組み合わせたドリルで連動性を養う。
・相手の胸を狙う正確性や、リリースポイントを見る癖付けなど、目的意識を持つ。
(First-Pitch編集部)
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