キャッチボール前に“お手玉”? 硬式移行でも通用する選手へ…中学強豪が実践する基礎ドリル

門真ビックドリームス・橋口監督が語る“体を自在に操る”ためのボール練習ドリル
野球などスポーツの現場でよく耳にする「センスがある」という言葉は本当なのか? 春夏合わせて11度の全国大会出場を誇る大阪の中学軟式野球チーム「門真ビックドリームス」の橋口和博監督は、そんな悩みに真っ向から反論する。「野球や運動センスは持って生まれたものではなく、磨くもの。子どもたちは磨き方を知らないだけかもしれない」と語る。
門真ビックドリームスでは、実戦形式の練習に入る前の基礎トレーニングに膨大な時間をかけている。橋口監督は「下手したら午前中の時間を全て使ってしまう時もあります」と口にする。多くのチームがすぐに打撃や守備練習に移行する中、同チームのアプローチは異なる。体の使い方を覚え、ボールを自在に扱う能力を養うことを重視している。
練習内容も一般的なキャッチボールから始めることはない。3つのボールを使ったお手玉、片足を上げてのボール移動、短い距離で互いがボールを投げ合うスローイング。一直線に走りながらの捕球など、様々な動きを加えてボールを扱う能力を高めている。こうした様々なドリルが、野球に必要な体の使い方や感覚を自然と身につける土台となる。
特筆すべきは“繰り返し”の重要性だ。「たくさんのドリルをやること、そして数をこなすこと。これがチームの基準値となっています」と橋口監督。同チームの選手たちは入部時と卒業時で明確な成長を見せる。「入部当初はお手玉ができなかった子も、卒業する頃には3つのボールを使って簡単にこなすようになっています」という成果は、地道な基礎練習の積み重ねが生んだものだ。
このアプローチは、高校や大学で通用する選手育成に定評がある同チームの秘訣でもある。「技術練習ももちろん大事ですが、手先や腕、足など自分の体を扱うことができなければ難しい技術は身につかないと思っています」という橋口監督の言葉は、選手や保護者にとって重要な気づきだろう。センスを羨む前に、磨く方法を知り、地道に繰り返す姿勢が、本当の上達への近道なのかもしれない。
(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)
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