小学生が硬式球でプレーするのは危険? 中学に繋がる“スピード感”…リトルが示すメリット

兵庫リトル・宮城龍輝【写真:牛島寿人】
兵庫リトル・宮城龍輝【写真:牛島寿人】

兵庫リトルの上月澄人監督が考える…小学生が硬式球で野球をするメリット

 小学生から硬式球を握ることで、得られるメリットはたくさんあるという。11月に滋賀で行われた、硬式少年野球5リーグ所属の小学6年生以下の選手を対象にした「MLB CUP 2025」ファイナルラウンドに出場した兵庫リトル。西日本代表のチームを率いた上月澄人監督は「打つ、投げる、守るのスピード感が一番」と、リトルリーグに所属する子どもたちの成長を実感している。

 リトルリーグはバッテリー間が14.02メートル、塁間が18.29メートルと、学童軟式野球に比べて距離が短く、走者はリードが許されていない。盗塁もボールがホームベースを通過後ならOKなど、様々な独自ルールがある。ボールも学童は少年用の小さい軟式球を使うが、リトルは大人と同じ大きさの硬式球を使用するため、負担が大きいと言われている。

 ただ、成長段階の子どもたちの肩や肘への負担を極力減らし、怪我などの障害を防止する対策は取られている。11~12歳は1日85球まで、10歳以下は1日75球までといった明確な球数制限や、1試合3イニングを超えて捕手を務めた選手の投手起用は不可など選手を守るルールはたくさんある。

 上月監督も「怪我が多い、リードがない、牽制がないとか、そういうのが中学校と少し繋がらないと言われることもあるんですけど、塁間、バッテリー間(の距離)はいいなと。中学校に上がると、もっとスピード感は上がってくる。リトルリーグはそのスピード感が一番、面白いと思っています」と口にする。

兵庫リトル・上月澄人監督【写真:牛島寿人】
兵庫リトル・上月澄人監督【写真:牛島寿人】

旋風起こした“ボーイズ勢”と互角の打撃「スピードに対応できるのはリトルの特徴」

 実際に「MLB CUP」でも、他チームの“スピード感”に対応する場面があった。予選ブロックの第1試合で、準優勝した勝呂ボーイズに2-5で敗れたが相手を上回る7安打(勝呂は4安打)を記録。最速109キロのエースに臆することなくバットを振り続けた。

 2試合目も打線が機能し計9安打を放ち、7-6で松山ボーイズに勝利。今大会で旋風を巻き起こした“ボーイズ勢”に負けない打撃を見せた。今大会は他団体のルールに合わせ、投手は変化球が禁止(チェンジアップはOK)となり配球面で苦労する場面もあったが、互角に渡り合った。

「相手投手は凄い真っすぐを投げていたので、最初はどうなるかと思ったのですが。スピードに対応できるのはリトルの特徴かも知れません。チャンスは作ったのですが、あと1本というところですね。守備もそうですが、短い距離で速い打球に対応しないといけない。そういった部分を含めてリトルリーグも、上の野球には繋がっていくと思います」

 兵庫リトルリーグは「MLB CUP」に出場するために結成した合同チームだ。短期間でチームをまとめる難しさもあったが、出場権を獲得し全国舞台に立った。「今まで戦えなかったチームとできるのは非常にいい経験になりました」。他団体と交流したことで指導者、選手たちは刺激を得た様子。小学野球は軟式がリードしているが、「小学硬式」のカテゴリーにも成長のきっかけはたくさん詰まっている。

(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

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