「ボールは全身を使って投げて」 種類は9つ…中学強豪の“手投げ改善”キャッチボール

関メディベースボール学院の投球練習の様子【写真:編集部】
関メディベースボール学院の投球練習の様子【写真:編集部】

関メディベースボール学院・藤田真悟氏「最終的に手だけで投げる子が多い」

 スローイングはもちろん手で投げる動作だが、その意識が強すぎると、うまく投げられない場合が多い。中学硬式野球の強豪「関メディベースボール学院」でトレーナーを務める藤田真悟さんは、「人間は体の中で動かしやすいところを動かしたがります。特に小・中学生は、手を一生懸命動かしてボールを投げようとする選手が多いです」と語る。

 腕力のみに頼れば「手投げ」になり、全身の力を効果的に使うことができない。上半身と下半身をうまく連動させなければ、強く速いボールを投げることができず、フォームも安定しないため、コントロールも乱れやすい。肩や肘にも大きな負担がかかるため、故障の原因になる場合もある。

「ボールは全身を使って投げてほしいんです。足も体も使って、その上で腕を使わないといいボールは投げられません。それがなかなかできなくて、最終的に手だけで投げる子が多いなという印象を受けます」

 関メディ中等部の硬式コースでは、中1の夏まで対外試合は行わず、練習で基礎的な動きを徹底させる。キャッチボールでは9つのドリルを取り入れ、硬球での正しいスローイングの形を体に染みこませる。

 具体的には、ドリル1~3は、肩関節が最も安定し、筋肉や腱への負担が少ないとされる「ゼロポジション」と呼ばれる腕の位置からのスローイング。肩甲棘(きょく)と上腕骨の長軸がほぼ一直線になる肢位で、障害予防の観点から重要視されているため、まずはこの位置から自然と投げることを意識させる。

 ドリル4~7はウオーキングなどの動作を取り入れ、ドリル8、9はそこから進化させて捕球動作を加え、上半身と下半身をうまく連動させていく。最初はなかなか思うように全身を動かせない選手も多く「全部落とし込むまでに1か月はかかると思います」と話す。

「選手同士でその時のリーダーを決め、ドリル何番と何番をやろうという感じで声をかけ、一斉にやらせています。初めは1つやっては止めて確認を繰り返すので、時間がかかるのですが、慣れてくれば選手たちだけで9つやれるようになってきます」

関メディベースボール学院の藤田真悟氏【写真:伊藤賢汰】
関メディベースボール学院の藤田真悟氏【写真:伊藤賢汰】

育成世代に多い足の能力の欠如…身につけたい「地面を蹴って弾む感覚」

 藤田さんが近年、小・中学生の育成世代を指導する上で特に感じるには「足の能力が欠けている」という点だ。つま先立ちからの片足ジャンプがリズミカルにできない子が多いという。鬼ごっこやジャングルジムなど、昔ながらの足を使った遊びをあまりやらなくなったことも原因として挙げられる。

「地面の蹴り方が乏しく、進行方向に対して力を伝えられない子がすごく多いです。僕は横へ動く動きも大切にしています。投手も打者も、スタートは横向きから始まります。野手だってボールを投げる時は一旦横を向くんです。反復横跳び的な動き、つま先でポンポンと地面を蹴って弾むような感覚が、もっと出てきてほしいなという感じはありますね」

 足をうまく使えてこそ、質の高いプレーは生まれる。藤田さんは今月開催中の「投げ方改善4DAYS」に出演。9つのキャッチボールドリルを含めた様々なスローイングの練習方法を伝授する。

少年野球の投球・送球指導に役立つ練習法を紹介…「投げ方改善4DAYS」開催中

 Full-Count、First-Pitchと野球育成技術向上プログラム「TURNING POINT」では、今月22日までの毎週月曜日、計4日間のオンラインイベント「投げ方改善4DAYS」を開催中です。投球・送球フォームの癖の直し方、球速アップにつながる指導法、正しいキャッチボールなど、選手・指導者・保護者に向けて、小学生・中学生の各野球カテゴリーで豊富な実績を持つ指導者・トレーナー陣がアドバイスします。参加費は無料。見逃し配信もあります。出演者などの詳細は以下のページまで。

【投げ方改善4DAYS・詳細】

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(内田勝治 / Katsuharu Uchida)

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