初心者の「ボールが怖い」をどう克服？　楽しみながらルールと基本を習得する“野球ごっこ”

DeNA筒香の兄・裕史さんが推奨…“野球遊び”からチームプレーを学ぶ「Tボール」

　野球のルールをどのように覚えていくのか？　DeNA・筒香嘉智外野手が故郷の和歌山に設立した少年硬式野球チーム「和歌山橋本Atta boys（アラボーイズ）」の代表を務める兄・裕史さんは、未就学児や小学校低学年の子どもには、まずルールを覚えて楽しめる環境づくりが大切」と語る。解決策として同チームで採用しているのが「Tボール」だ。

　子どもたちは“野球ごっこ”でプレーを覚えていく。Tボールとは投手が投球するのではなく、バッターボックス横に設置されたティー台の上にボールを置いて打つ競技。筒香さんは「子どもたちが野球を覚える意味ですごく有効です。前から飛んでくるものを打つのは、初めての子にとっては非常に難しい」と説明する。恐怖心なくボールを打てるため、試合のテンポも良くなる。

　このスタイルでは技術を教えるだけでなく、子どもたち自身の気づきを促す環境設定が重要になる。「基本は子どもたちに任せています。ルールや試合が進むことについて、どこまで補助すべきかというところです」。指導者は完全放任でも過剰指導でもなく、適切な距離感を保つべきなのだ。

「子どもたちに好きにやってと言ったら上達しないと思うんですけど。でも、こういう場面はこうなんだ、こういう場面はこうなんだっていうのはやりたくないんです」。子ども同士の声掛けなどから生まれる気づきを大切にしているという。

　このアプローチの良さは、野球の本質を遊びながら学べる点にある。打つ、投げる、守るといった基本動作を行いながら「そこに色んなものを付け加えていく」。徐々に野球に繋げていくことが大切になる。子どもたちは自然と「これって補助する人が必要だねとか、ボールが飛んでいったら誰か取りに行かなきゃいけない」と気づく。チームプレーを理解する出発点となる。

（First-Pitch編集部）