投手の「体が開く」悪癖に終止符 名コーチ直伝…制球力を上げる“逆説的”キャッチボール

ダルビッシュ、田中ら育てた名伯楽・佐藤義則氏が説く“投げない意識”と体の使い方
ピッチングで悩みに多いのが、体が開いて制球が定まらない問題だ。ダルビッシュ有や田中将大ら数多くの名投手を育てた佐藤義則さんは、その原因の1つとして「投げたい、投げたい」という“投げ急ぎ”の気持ちがあると指摘する。通算165勝を挙げ、引退後は5球団の投手コーチを歴任した名伯楽が、理想的な投球フォームを作るキャッチボールのコツを伝授する。
「キャッチボールする際に、(右投手の場合)左足の動きに合わせて右手を動かす意識を持つと、トップの位置まで上げやすい」と佐藤さん。ピッチャーはどうしてもボールを持つ手の方に意識が向きがちだが、一番先にくるのは左足を上げるという動作。だからこそ、それに合わせて右手を動かすことでバランスよく投げられるのが理屈だという。
キャッチボールでも、ステップ足を主導にして、投げる手が自然に動くという意識を持つ。また、セットで静止した状態から投げるよりも、大きく振りかぶって、ゆったりとしたフォームで投げてほしいとも語る。ワインドアップが苦手な子は、「初めから両手を後頭部まで持ってきて置いといて、そこから左足を上げて、手の動きを合わせていくのでもいい」と佐藤さんは説明する。

さらに、佐藤さんが強調するのが「投げない、投げない」という逆説的な意識だ。「投げたい」と急ぐと手や腰が早く開いてしまうが、「投げない」意識を持つことで、打者に対して壁を作れ、球の出どころも見えにくくなり、最後に「バンと爆発」させることで威力のあるボールを投げられるという。
こうしたことを日々のキャッチボールから意識することで、足と手の動きが同調する、理想的な投球フォームが身につく。小学生や中学生の時期から習慣づけることができれば、将来の成長にとって極めて重要なはずだ。
(First-Pitch編集部)
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