マウンドで体が突っ込む…原因は“上半身頼り” 強いボールが投げられる「横回転ドリル」

西武アカデミー・宮田和希コーチが推奨する「後ろ手組み回転ドリル」
体が突っ込む投球フォームは、野球をする少年少女に多く見られる。「突っ込み」とは、足を上げて着地した時に頭が前方に倒れ込んでしまう状態を指す。そうなると肩や肘が伸びきった状態での投球となり、関節に余計な負担がかかるだけでなく、コントロールや球速にも悪影響を及ぼす。子どもたちに多いこの問題は、上半身の力に頼った投げ方をしていることが主な原因だ。埼玉西武ライオンズのベースボールアカデミーで指導する宮田和希コーチが改善ドリルを紹介している。
理想的な投球フォームでは、踏み込んだ足よりも頭が前に出ないことが重要になる。この正しい動作を身につけるために効果的なのが、「後ろ手組み回転ドリル」だ。まず足を上げて前に踏み込み、その際に両手を背中で組んでおく。これにより背筋が自然と伸び、上半身の力みが抑えられる。そして踏み込んだ足を軸にして体を回転させる動作を繰り返し行う。
このドリルで注意すべき点は、足の開き方と回転の仕方だ。両足が開きすぎると体が上手く回らなくなるため、踏み込んだ足の膝に後ろの膝が近づくようなイメージで回転させるとよい。また、頭が足より前に出る傾向があるが、後ろで手を組むことでこれを防止できる。背筋がピンと伸びた状態でスムーズに回転することを心がけよう。
もう一つ重要なのが、踏み込む足のつま先の向きだ。つま先が斜めを向いてしまうと膝の向きが定まらず、踏ん張りが利かなくなる。体重が流れてしまい、結果的に体が突っ込んでしまう。踏み込んだ足の膝にしっかり体重を乗せ、投げる方向につま先を向けることが基本となる。
このドリルでは上半身ではなく、足の力で体を回転させることを意識する。毎日短時間でも継続すれば、体が自然と覚え、いつの間にか正しいフォームで投げられるようになる。プロ野球選手も実践している方法で、習得には時間がかかるが、できるようになれば投球力は格段に向上する。下半身の力を使った投球フォームを身につければ、コントロールも安定し、怪我のリスクも減らすことができるだろう。
(First-Pitch編集部)
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