投動作で多い「肘抜け」をどう防ぐ? 100均道具で理解…腕が“伸びてはいけない”位置

リリース時の適切な“腕の位置”を覚える方法とは(写真はイメージ)
リリース時の適切な“腕の位置”を覚える方法とは(写真はイメージ)

柔らかいボールなどの“安価アイテム”で覚えるリリースポイント

 100円ショップのグッズには野球上達のヒントが詰まっている。野球塾「Perfect Pitch and Swing」代表の長坂秀樹さんが15日、野球育成技術向上プログラム「TURNING POINT」のオンラインイベント「投げ方改善4DAYS」に出演。「“子ども一人で直せる”100円アイテム矯正ドリル」をテーマに、肘が下がる悩みを解消するアイテムを紹介した。

 長坂さんは現役時代に投手として4か国でプレーし、最速152キロを計測した。現役引退後は指導者の道を歩み、今季MLBナショナルズでプレーした小笠原慎之介投手の中学時代に指導した経験もある。

 長坂さんは理にかなった体の使い方に重点を置き、投球や送球では持っている力を無駄なくボールに伝える方法を選手たちに教えている。また、選手を飽きさせないメニューも特徴で、身近にあるものを使ったユニークな内容も多い。今回のイベントでは、100円ショップで購入できる商品を使って、肘が抜ける(肘から先に前に出る)投げ方を修正するドリルを解説した。

 最初に手にしたのは、ハンドボールほどの大きさの柔らかいボール。リリースポイントを覚えるために有効だという。練習方法はリリースの位置でボールを持ち、投球動作を意識して力を込める。この時、練習パートナーに、そのボールを反対方向へ押してもらう。逆向きに同じボールを押し合うことで、リリースの際に腕の付け根や胸の辺りに力が入る感覚が身に付く。

 このドリルではリリースの位置が大切になる。理想のリリースポイントは「耳の横」。長坂さんは「顔の前でリリースするのはエラー動作です。ドリルでは、肘が前に出た状態でボールを押すと力が出ないのが分かります。力が上に抜けてボールに伝わりません」と解説した。

「Perfect Pitch and Swing」の長坂秀樹氏【写真:伊藤賢汰】
「Perfect Pitch and Swing」の長坂秀樹氏【写真:伊藤賢汰】

肘が抜ける動きを引き起こす…指導者のNGワード

 また、長坂さんは「ボールを前で放せ」「肘から出せ」を、指導者が使ってはいけないNGワードに挙げる。投球や送球では結果的にボールを体の前で放しているが、それは体が倒れているためで、腕で操作して前で放してしまうとボールに力が伝わらない。良い選手はリリースポイントが耳の横よりも後方で、頭の後ろ辺りになるという。

 プラスチックのバットも、肘が抜けない動きを身に付ける効果的なアイテムとなる。長坂さんは、水を入れて重くしたプラスチックの短いバットを自身の野球塾で使っている。ドリルは、バットを持って後ろに振り上げ、頭の後ろで1度回して前に振る内容で、動きを止めずに繰り返し行う。右投げの場合、時計の針で表現すると、三塁側から見て10時の位置(背中側の位置)で腕を伸ばすのが理想。肘が抜ける選手は1時、2時の位置(前側の位置)で肘が伸びているという。

 その他にも、長坂さんは軽い発泡スチロールのボールを投げて、その軌道で肘が抜けた投げ方をしていないか視覚的に理解するメニューも紹介した。高価な用具や器具がなくても、工夫次第で安価な商品が悪癖を直すアイテムとなる。4週連続で月曜日に開催している「投げ方改善4DAYS」は、22日が最終回となる。

投球・送球がうまくなる練習法を紹介 「投げ方改善4DAYS」開催中…見逃し配信あり

 Full-Count、First-Pitchと野球育成技術向上プログラム「TURNING POINT」では、今月22日までの毎週月曜日、計4日間のオンラインイベント「投げ方改善4DAYS」を開催中です。投球・送球フォームの癖の直し方、球速アップにつながる指導法、正しいキャッチボールなど、選手・指導者・保護者に向けて、小学生・中学生の各野球カテゴリーで豊富な実績を持つ指導者・トレーナー陣がアドバイスします。参加費は無料。見逃し配信もあります。出演者などの詳細は以下のページまで。

【投げ方改善4DAYS・詳細】

https://first-pitch.jp/article/well/20251126/13493/

【参加はTURNING POINTの無料登録から】

https://id.creative2.co.jp/entry

(間淳 / Jun Aida)

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