「追いつけない」と感じた鷹の背中 課した“過去一番”…広島Jr.監督が驚いた成長曲線

広島ジュニアの天谷宗一郎監督(右)【写真:チーム提供】
広島ジュニアの天谷宗一郎監督(右)【写真:チーム提供】

広島ジュニア・天谷宗一郎監督が参考にした優勝チームの指導法

 昨年、あと一歩で優勝を逃した悔しさがチームを変えるきっかけとなった。26日に開幕する「NPBジュニアトーナメント KONAMI CUP 2025」で、広島東洋カープジュニアの指揮を執る天谷宗一郎監督は「優勝を狙いに行きます」と力強く宣言。「みんな成長しました。今年のチームは、これまでで1番練習させたと思います」と、短期間で成長を見せた選手に目を細める。

 天谷監督は広島で17年間、俊足巧打の外野手として活躍。広島ジュニアの監督として今年は5回目の大会となる。昨年は2連勝して臨んだソフトバンクとの準決勝で、延長の末に引き分け。大会ルールにより抽選で敗退となり、決勝に進んだソフトバンクが優勝を果たした。

 今年のメンバー決定直後、そのソフトバンクと練習試合を行うも敗戦。点差以上の“力の差”を感じたという天谷監督は、相手チームの首脳陣に助言を求め、指導法に耳を傾けた。「うちでは取り組んでいないハードなトレーニングを課していることを知り、これでは追いつけないと実感しました」。優勝を目指すチームの現状を知り、今年の選手には過去一番の練習量を課した。

 横浜DeNAベイスターズジュニアの監督を務め、2023年大会で優勝に導いた荒波翔氏からも、短期間の活動でもトレーニング次第で小学生の能力は飛躍的に伸びると聞き、プロがキャンプでこなす量と遜色ないメニューを、限られた時間の中で積み重ねた。

「選手もヒーヒー言いながら練習していましたね。見ている保護者の方にも、しんどさが伝わったのではないかと思います。ただ1か月経ったとき、誰が見ても分かるほどグッと成長してくれました。そこは選手たちも自信になっているのではないかと思います」

16人のメンバーには岡山、山口、島根からも選ばれた【写真:チーム提供】
16人のメンバーには岡山、山口、島根からも選ばれた【写真:チーム提供】

昨年ベスト4、今年は中国5県から史上最多となる250人が応募

 昨年ベスト4に輝いた実績は、選考会にも影響を与えた。昨年は178人だった応募が、今年は250人に増えて過去最多を記録。広島ジュニアは発足当時から、広島県内の選手のみでチームをつくることにこだわってきたが、昨年から中国地方5県に選考対象を拡大。今年は広島以外の4県から95人(昨年は43人)の応募があり、16人のメンバーには岡山、山口、島根の選手も選ばれている。

「全員の力を結集して、チーム力で勝っていくのがカープの野球だと思うので、そのチーム方針はぶらさずに選考しました」と、天谷監督はチームワークを考慮した選考だと強調。“広島野球”に息づく伝統も取り入れながら、中国5県の精鋭16人を選んだ。

 現役引退後、ジュニア監督としての活動や、様々な取材やイベントを通して、数多くのアマチュア選手を見てきた。YouTubeやSNSで、手軽に“技術”を吸収できる時代になったが、「やっぱり積み重ねが大事だと思います。それは練習だったり、毎日の食事や睡眠だったり色々です。技術に走りすぎないでほしいなとは感じています」と、小さな頃の積み重ねが今後の成長につながる礎になると語る。

「短い時間ではありますが。そういった自分の経験も含めて伝えることで、選手が成長してくれたらうれしいなと。去年から四国(四国アイランドリーグplusジュニア)からも参加するなど広がりを見せているだけに、この大会を通じて、プロ野球を目指したいと思ってくれる子どもたちが増えてくれたらいいですね」

 10月下旬の結成以降、日々の練習や実戦を通して成長を見せる16人の選手とともに、監督として迎える5回目の舞台で悲願の初優勝を目指す。

(真田一平 / Ippei Sanada)

少年野球指導の「今」を知りたい 指導者や保護者に役立つ情報は「First-Pitch」へ

 球速を上げたい、打球を遠くに飛ばしたい……。「Full-Count」のきょうだいサイト「First-Pitch」では、野球少年・少女や指導者・保護者の皆さんが知りたい指導方法や、育成現場の“今”を伝えています。野球の楽しさを覚える入り口として、疑問解決への糸口として、役立つ情報を日々発信します。

■「First-Pitch」のURLはこちら
https://first-pitch.jp/

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY