“野球未経験”なのに…プロの登竜門に選出 四国の逸材が「速球に対応できる」ワケ

四国ILジュニア・舩見桜良【写真:四国アイランドリーグplus提供】
四国ILジュニア・舩見桜良【写真:四国アイランドリーグplus提供】

四国アイランドリーグジュニアに選ばれたソフトボーラー・舩見桜良くん

 強みは“違う畑”で培った実力にある。神宮球場と横浜スタジアムを舞台に26日から開催される「NPBジュニアトーナメント KONAMI CUP 2025」。昨年に続いて2回目の参戦となる四国アイランドリーグplusジュニア(四国ILジュニア)のメンバー16人の中には、軟式野球未経験者がいる。今年10月までソフトボールをしていた舩見桜良(ふなみ・おうら)選手(6年=愛媛・鶴島ジュニア)だ。

 ポジションは遊撃手兼投手。身長172センチ、体重70キロのがっちりとした体格を生かした、力強いバッティングが注目ポイントだ。その体つきは、母・香織さんが栄養バランスを気にかけて作ってくれた食事が土台となっている。

 大分・明豊の二塁手として2024年春の甲子園に出場した7歳上の長男・侑良(ゆら)さん(高知工科大)が、中学入学時に食事による体づくりを始めたのに合わせて、当時幼稚園児だった桜良くんも“食トレ”を開始。「食べられたらちょっとずつ継ぎ足して」いくことで、無理なく体を大きくすることができたという。

 小学1年生になると、侑良さん、2歳上の次男・颯良(そら)さん(宇和島ボーイズ)も所属した、近所のソフトボールチーム「鶴島ジュニア」に入団。父・暁さんが自宅1階に作ったバッティングスペースで、兄2人とともにソフトボールやバドミントンのシャトルを使ってスキルを磨いた。4年時には静岡県で行われた全国大会に二塁手として出場し、エースを務めていた颯良さんと共に優勝を成し遂げた。

“ソフトボーラー”ならではの強みを生かしてプレーする【写真:喜岡桜】
“ソフトボーラー”ならではの強みを生かしてプレーする【写真:喜岡桜】

ソフトボール経験者の強みは、速球への対応力

 ソフトボールは、学童野球で使用される軟式ボールより大きく、硬くて重みがあるだけに、それを打ち込んできたことでバッティングには自信があるという桜良くん。一方で、暁さんは「性質が違う軟式ボールは、潰れて飛びにくい。対応を急いでいるところです」とも語る。四国ILジュニア入りが決まった11月から、兄2人は経験することがなかった軟式ボールでの練習を始め、「全然違う競技だね」と家族で試行錯誤しながら開幕へ備えてきた。

“未経験”であることを負い目に感じることはない。香織さんは「ソフトボールの方がピッチャーが投げた球の体感速度が速いと言われているので、速球には対応しきれると思います。中学生の兄(颯良さん)が硬式を始めたばかりの頃、『なんでみんなスローボールやチェンジアップを投げているの?』と言っていたくらい、打席での体感速度に違いがあるようです」と言う。

 21日に香川・志度球場で行われた四国ILジュニア1期生との練習試合には「1番・DH」で出場した。駒居鉄平監督も今大会のキーマンの1人に挙げており、桜良くんも「チームのためにできるだけたくさん打ちたい」と意気込む。初めて臨む軟式野球の大会であり、逸材小学生が集う“大舞台”。ソフトボーラーだからこそ活躍できる場面が、必ずくる。

(喜岡桜 / Sakura Kioka)

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