実戦で“崩されない”スイングを作るには 天才打者も実践…「懐」生み出す反復ティー

緩急に崩されないスイングが身に付く練習法とは(写真はイメージ)
緩急に崩されないスイングが身に付く練習法とは(写真はイメージ)

元巨人スコアラーの三井康浩さんが教えるスイング軌道の安定法

 巨人の看板打者として活躍した高橋由伸氏の打撃を支えたのは、徹底した反復練習だった。かつて巨人でチーフスコアラーを務め、数々の名打者と間近で接してきた三井康浩さんは、高橋氏が現役時代に欠かさなかったティー打撃を紹介している。天才打者の活躍の裏には、どんなボールに対しても一定のスイング軌道で対応することを目的とした地道な積み重ねが存在する。

 スイングの安定には、体の前に「懐」を作ることが重要だと言われる。この「懐」とは、おへその下にある丹田を意識して体を少しくの字に曲げることで生まれる空間を指す。三井さんは「この空間を維持したまま振る」ことが重要だと説く。「懐」があることで、緩急や厳しいコースに対しても、自分のスイング軌道を崩すことなく、ボールを的確に捉えることが可能になるのだ。

 具体的な練習方法は右打者の場合、バットを構えた状態で左斜め前(やや三塁側)から投げられるボールを打ち返す形をとる。背中側から来るボールに対しては、体が前に突っ込んでしまいやすいので注意が必要だ。三井さんは「ぎりぎりまで呼び込んできて、距離をしっかりとって打つ」意識の重要性を強調する。早く打ちに行かずに我慢することが、実戦で崩されない“インサイドアウト”の軌道を身につける近道となる。

 巨人一筋で通算1753安打、321本塁打を記録した高橋氏は、シーズン中にこの練習を毎日40分ほどかけ、約120球も繰り返していたという。この積み重ねこそが、多くのファンを魅了した天才と称される打撃を作ったのだ。

 この練習の主眼は、単に打つことではなく「体のバランスとスイング軌道の安定」にある。実際に行う場合は数をこなすのではなく、フォームが崩れていないか、「懐」の空間が維持できているかを確認してほしい。ボールを呼び込む感覚を掴めれば、打席での対応力は飛躍的に向上し、どんな投手に対しても自信を持って打席に立てるようになるはずだ。

(First-Pitch編集部)

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