跳ねる打球に合わせられない…「あと一歩」を鍛える“9マス” 判断力を磨く守備ドリル

打球のバウンドに合わせやすくなる練習法とは(写真はイメージ)
打球のバウンドに合わせやすくなる練習法とは(写真はイメージ)

「闇雲に突っ込む」癖を矯正…バウンドの見極めと状況判断を養う9マスドリル

 バウンドしながら飛んでくる打球に対して、「前に出るだけ」の単調な動きになってしまう……。子どもたちに見られる典型的な問題点として、様々な打球に対応できる捕球バリエーション不足が挙げられる。米国でコーチングを学び、現在はソフトバンクでスキルコーチを務める菊池タクトさんが推奨する「9マスドリル」は、子どもの守備力を飛躍的に向上させる効果的な練習法だ。

 9つの円を床やグラウンドに配置し、中央のマスを基本の捕球位置とする。このマスでは足を動かさずグラブ操作だけで捕球する技術を磨く。周囲の8つのマスはそれぞれ異なる捕球パターンを想定しており、前後左右の動きに対応した捕球姿勢とフットワークを体得できる。

 後方のマスではハーフバウンドの打球を想定し、一歩後ろに引きながらグラブを出す動作を練習する。前方のマスでは跳ねたボールに対して一歩踏み出しながらキャッチする形を身につける。慣れてきたら順番通りではなく、ランダムにマスを指定して捕球練習を行うとより実戦的になる。保護者が手伝う場合は無理に狙って投げるのではなく、軽くボールを転がし、捕る側が反応して適切な位置に入る練習が効果的だ。

 このドリルの目的は、打球に対して単に前に出るだけでなく、状況に応じたフットワークと捕球姿勢を身につけることにある。闇雲に前進するだけだと、跳ねる打球をグラブの土手に当てるなどのミスが生まれやすい。バウンドを見極めるフェーズを作り、最後の一歩で体を入れる判断力を養うのがこのドリルの本質になる。

 多くの子どもはボールに向かって走りながら捕ろうとするが、そうすると打球の変化に対応できなくなる。特に跳ねたボールに対してグラブを引く動作ができなくなり、捕球のバリエーションが限られてしまう。このドリルで「しっかり見て、前に出るか引くか」という判断力を身につければ、実戦での守備の幅が広がる。

 日々のハンドリング練習や握り替え練習と組み合わせることで、効果は最大化される。繰り返し練習することで、子どもたちは実戦で必要な動作を体に刻み込むことができる。ボールを捕るだけでなく次の動作を見据えた捕球姿勢を身につければ、守備力は飛躍的に向上するだろう。

(First-Pitch編集部)

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