強烈ゴロを「体で止めろ」は逆効果 恐怖心も払拭…“捕球しない”打球処理の選択

強い打球を処理できるようになる練習法とは(写真はイメージ)
強い打球を処理できるようになる練習法とは(写真はイメージ)

武拓人さんが解説…速い打球への恐怖心を消す「捕球しない」選択肢

 少年野球で、強烈な打球を恐れて腰が引けてしまう選手は少なくない。「体で止めろ」と声をかける指導者もいるが、痛みや恐怖心から体が硬直してしまい、かえってミスを誘発することもある。守備特化型の「ディフェンスデザイナー」として多くの子どもたちを指導する武拓人さんは、従来の“根性論”とは一線を画す解決策を提示している。

 速い打球に対して「捕る動作が入ると体に力が入って、近くなって恐怖心が生まれる」と武さんは指摘。捕りにいこうとすると前のめりになり、ボールとの距離が詰まって恐怖心が増す悪循環に陥りやすい。真正面に入ると、「距離感が分からなくなる」というデメリットもある。そこで必要なのが、無理に捕球せず「止めていい」という発想の転換だ。

 具体的な対処法として、ボールに対して真正面に入るのではなく「少し横になってずらして」構えることを推奨する。打球が速いため、グラブを出せば勝手に「グラブに入ってくれる」か、もしくは弾いて前に落とすこともできる。落としたボールを拾って送球すれば、十分にアウトにできる。「グラブにパンって当ててあげる」イメージを持つことで余計な力が抜け、自在なグラブ操作が可能になる。

 さらに重要なのが打球の勢いを利用することだ。ボールと喧嘩せず「グラブも一緒に後ろに持っていきたい」と語る。ボールを迎えにいくのではなく、呼び込んで「後ろで捕ってあげる」感覚を持つことでスムーズな処理が可能になる。

「当てて落とす」技術は、速い打球への恐怖心を消すための有効な手段だ。「捕らなければいけない」というプレッシャーから解放されることで、精神的な余裕が生まれる。子どもたちが安全かつ確実にアウトを取るには、ボールを怖がらずに扱えるような正しい体の使い方と発想の転換が不可欠になる。

(First-Pitch編集部)

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