小中学生が磨くべきは球速か、制球力か 元Gエース即答「高校生では発達しない」

桑田真澄氏が「デジタル野球教室」にスペシャルコーチで参加…中学生を指導
元巨人のエースが、制球力向上に必要な練習を説明した。ライブリッツ株式会社が主催する「デジタル野球教室」が2025年12月21日、東京都稲城市のジャイアンツタウンスタジアムで行われ、同年まで巨人2軍監督を務め、2026年からオイシックスのチーフ・ベースボール・オフィサー(CBO)に就任する桑田真澄氏がスペシャルコーチとして参加。硬式野球クラブに所属する中学生30人にさまざまな助言を送った。
「球速とか回転数の数字を見ると、なかなか目がいかなくなりますけど、僕は投手で一番大事なのはコントロールだと思っています」。最新鋭の機器を使ったデータ分析の野球教室でも、桑田氏の主張は一貫している。いくら球が速くても、ノーコンでは意味がない。「投手の目標は、あくまでアウトを取ることです」と制球力の重要性を力説した。
現役時代は抜群の制球力も武器の1つで、通算173勝を記録。投手は空振りや見逃しストライクを奪うのが快感だが、自分有利のカウントに持ち込むために「ファウル、ファウルで2ストライクになるのが好きでした」と、各打者に対してどのコースに投げればファウルになるかを研究していたという。ファウルを打たせるのも技術の1つで「打者が打ちにくいコースに球を集める。そのためにはコントロールが必要です」と力を込めた。
制球力を磨くための練習については、ブルペンなどマウンドからの投球練習が一番だという。「投手と野手の決定的な違いは、仕事をする場所です。野手は捕手も内外野も走者も全員、平らなところでプレーする。投手はマウンドという傾斜のある場所で仕事をします」。平坦なグラウンドで強めのキャッチボールや遠投をしても、投手としての細かい制球力にはつながらない部分もあるという考えだ。
「遠投で調整する選手もいます。遠投もいいんですけど、僕はマウンドで、傾斜でバランスをとる練習をした方がいいと思います。そうやって狙ったコースに投げられるコントロールを身につけていくしかない。階段上りをたくさんして疲れても、コントロールは良くならない。ポール間走を30本やっても、アメリカンノックで泥んこになっても、コントロールは良くならない。傾斜で投げないと身につかないんです」

球速よりも「中学生ではコントロールを磨くべき」
桑田氏は現役時代、外角低めへの投球練習を繰り返していたと振り返る。「アウトローに10球投げたら終わり、という練習をしていました。ただ、捕手のミットが少しでも動いたらカウントしません」。厳しい条件にもかかわらず「現役の時は11、12球で終わっていました」と正確無比な制球力だったことを明かし、「今だったら、どうだろう。13、14球あれば終わると思います」。身についた感覚は、57歳の今も衰えがないのだ。
球速は速いけど制球が悪い投手もいれば、球速は遅いけど制球がいい投手もいる。どちらがいいかを問われると、「中学生ではコントロールを磨くべきですね。コントロール命です」と即答。「練習は全力で投げる必要はない。毎日コツコツと20~30球でいい」と説明した。
「人間の成長的にも、中学生ぐらいまではコントロールの練習をするのが一番いい。小中学生でコントロールが悪い選手は、プロになってもコントロールが悪いです。神経系が、高校生ではあまり発達しない。球速は上がってくるけど、コントロールがなかったらアウトが取れない。小中学生の時にコントロールを身につけていれば、どんな球でもストライクを取るのが苦にはならない。だから何よりもコントロールを身につけるしかないんです」
ドジャース・山本由伸投手の名前を出し、「米国では直球も変化球もデータでは平均的な投手。でもストライクからボールになる球で打者に振らせるコントロールが抜群にいい。だからアウトをたくさん取れる」と解説。同僚の大谷翔平投手の打撃にも触れ「皆さん『パワーが凄い』と言いますけど、僕はバットの芯で捉える確率が素晴らしいと感じている」と話し「打者もスイング速度が速くてもバットに当たらないと何も始まらない。バットコントロール、コンタクト率というのが凄く大事」と強調した。
「投手も打者も、結果を残すにはコントロールが必要です」。球速は体が成長すれば自然と伸びてくる。小中学生が習得すべきなのは、まず制球力。正しいフォームで制球力が身につけば、ずっと自分に有利な条件で勝負に挑めるのである。
(尾辻剛 / Go Otsuji)
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