低学年の“心の波”にどう対処する? 厳しさは必要も…元虎戦士が明かすコツ「機嫌次第」

野球教室に参加した阪神アカデミーの江越大賀コーチ【写真:喜岡桜】
野球教室に参加した阪神アカデミーの江越大賀コーチ【写真:喜岡桜】

阪神アカデミーコーチの江越大賀氏…高知県高野盟主催イベントで講師

 少年時代の実体験を、子どもたちへの指導に生かしている。高知県高校野球連盟が主催する「第2回キッズ・ベースボールフェスタin高知」が昨年12月14日、春野総合運動公園の室内練習場で開催され、元阪神、日本ハムの江越大賀氏が講師として参加した。2024年に現役引退後、阪神アカデミーコーチとして幼児から小学6年生までを指導している江越氏に、低学年指導のヒントを聞いた。

 同県は2025年夏の地方大会出場チーム数が「23」と、鳥取県と並び全国で最も少なく、硬式野球部の部員数も1000人を下回った。野球の面白さを知ってもらい普及に繋げようと、これまで継続的に開いてきた中学生への野球教室に加えて、スポーツに関心を示し始める幼稚園から小学3年生を対象とした同フェスタを2024年にスタートさせた。

 この日は県内の高校球児も来場し、ストラックアウトなどのボール遊び、ホームラン競争、野球のルールを簡易化した「BTボール」で子どもたちと触れ合った。「高知の子の方が野球への興味の度合が高い気がしますね」と江越氏も目を丸くするほどの熱気に包まれた。

 江越氏自身は長崎・南島原市の出身。スポーツを始めたのは5歳のときだ。地元の空手のクラブに通い始め、「強いことはないですが市内の大会で優勝したりしました」と振り返る。小学2年時にソフトボールチームにも入団し、少人数の中で伸び伸びとプレー。中学から軟式野球に転じたが、1年生まで空手と球技を“両立”させた。性質が異なる競技をすることで「その後の野球にも生かされたと思います」と語る。

 例えば、チームスポーツは「ミスをしても仲間がカバーしてくれれば、失点が防げたり、結果的に勝てたりする」ことがある一方、個人競技はそうはいかない。空手の「型」は「自分一人の勝負で、自分のミスが勝敗に直結する」と解説し、「負けん気の強さは空手で身に付いたと思います。このくらいの時期にはいろんなスポーツをしてみてもいいのでは」と提案する。

低学年の指導には“割り切り”も必要と話す【写真:喜岡桜】
低学年の指導には“割り切り”も必要と話す【写真:喜岡桜】

他のスポーツを経験することで気付く面白さ、培われる能力

 どれだけ本人が望んではじめた競技であっても、気持ちに浮き沈みはあるもの。江越氏も小2でソフトボールに関心を持った際、空手の練習に行く頻度が減った経験があるという。

 そうした体験もアカデミーでの低学年指導に生かしている。楽しそうに通ってくれていた生徒が「お母さんから離れたくない」と座り込み、動かなくなることがある。そんなときはまず、子どもの要望を聞き入れるようにしている。

「個人差はありますが小学2年生ごろまでは、指導者が言っていることを全て理解しているわけじゃないので、こちらの指示や考えを押し付けないようにしています。みんなでストレッチをしているのに、1人がボールを投げたいと言い出せば『こっちでしようか』と付き合うこともあります。指導を受けてくれるかは『子どもの機嫌次第』と僕は割り切っています」

 もちろん、野球がチームスポーツである以上、周囲と歩調を合わせるよう指導する「厳しさも大事」だ。それは、上級生になるにつれて段階的に教えていけばよいのではとも話してくれた。

 他のスポーツを体験してみることで、野球特有の面白さに気付くこともある。「自分の特性にあった、これなら活躍できると自信を持てるスポーツが見つかるまで、いろいろなことに挑戦すればいいと思います。それが野球だったら、僕は嬉しいな」。そう語り、楽しそうにボールを投げる高知の子どもたちを優しく見守っていた。

(喜岡桜 / Sakura Kioka)

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