毎日10分で激変…元Gエースが唯一続けたシャドーピッチ “0.2秒の不利”を解消する秘訣

桑田真澄氏が野球教室で中学生に助言「毎日50回だけ、10分で終わります」
打者を抑える鍵の1つに、グラブを持つ側の肩の動きがある。ライブリッツ株式会社が主催する「デジタル野球教室」が2025年12月21日、東京都稲城市のジャイアンツタウンスタジアムで行われ、同年まで巨人2軍監督を務め、2026年からオイシックスのチーフ・ベースボール・オフィサー(CBO)に就任する桑田真澄氏がスペシャルコーチとして参加。硬式野球クラブに所属する中学生30人に、現役時代に取り組んだ練習方法を明かした。
「現役の時、ずっと続けていた練習は、シャドーピッチングです。毎日50回だけ、やっていました。時間でいうと10分以内で終わります。やり続けた練習はこの1つだけでした」。回数にしても、時間にしても大きな負担ではない。毎日続けられた秘訣である。
NPB通算173勝を挙げ、MLBにも挑戦した右腕がチェックしていたポイントは左肩の動き。「今はすぐに数字が出る時代。投手がリリースして打者のバットに当たるまでは約0.4秒なんです。ところが右投手の場合、左肩が早く開いてしまうと約0.6秒かかってしまいます」。力んで体が早く開くことで球持ちが悪くなり、打者に約0.2秒の猶予を与えるのである。
さらに、体が早く開いてしまうと、打者に球の出どころが見やすくなるという投手にとって不利な状況が生じる。「球速があるとか、凄い変化球があるというのも大事だけど、もうひとつ投手にとって大事な要素は球を隠すとか、最後まで見せないことです」。
ほんのわずかな差が、大きな差となって表れる厳しい勝負の世界。「だから体が開かないように、踏み込んだ左足が着く時に、左肩が開かないようにやっていました」。毎日50回の積み重ねが、エースの道につながっていたのだ。

中学生に指摘「リリースする前から打者には球が見えています」
今回の野球教室でも熱心に指導した桑田氏。参加した30選手中、投手は10人おり「見ていたら、ほとんどの投手が肩の開きが早いです。そうするとリリースする前から打者には球が見えています」と指摘した。抑えよう、力強い球を投げようと思えば思うほど上半身に力が入って、体が開き気味になる。「そこを我慢して、最後まで我慢して投げていくと、打者と0.4秒の勝負ができるんです」。0.2秒の差が、とてつもなく大きいのである。
2025年は8勝に終わった巨人・戸郷翔征投手について「今年は調子が悪かったですよね。体が早く開いて早くから球が見えていました」と解説。「もう少し我慢して投げられるようになると、また勝てるようになります」とフォームを修正できれば巻き返しは十分可能だと説明した。
「球速は変わらないけど、どうしてもみんな力が入ってしまう。打者も力が入るからミスショットするんです」。闘争心は必要だが、空回りしては意味がない。程よく力を抜くことも必要で「僕は1試合完投して135球投げるとしたら、全力で投げるのは40~50球でした」と回顧。
状況に応じて出力を7~9割に抑えていたケースもあり「直球だけでも140キロ、143~144キロ、145~146キロと3種類投げていました」。変化球も1球種で数パターン投げ分けていたことで、打者を翻弄していたのだ。
投手はグラブを持つ側の肩が早く開かないこと。必要以上に力まないこと。そこを意識するだけで、打者に対して有利な状況を作っていける。
(尾辻剛 / Go Otsuji)
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