引っ張りたいのに…なぜ打球は逆方向へ? SNS時代の“理論優先”に警鐘「逆に遠回り」

NPB1526安打の坂口智隆氏がクリニック開催…語った“バットを操る”意味
YouTubeやSNSなどで、高度な打撃理論などが簡単に見られる現代。最新の技術論を目にしている子どもも多いだろう。しかし、NPB3球団で計20年プレーし、通算1526安打をマークした坂口智隆氏は「根本的な部分をすっ飛ばしてやるのは、長い目でみれば逆に遠回りになる」と警鐘を鳴らす。
坂口氏は1月17日に大分・竹田市で行われた「野球・ソフトボールクリニック」に講師として参加。小学生から大学生まで幅広い年代を対象に打撃と守備を指導した。そこで、坂口氏は「バットという道具を扱えるようになることが大事」と強調。バットをどう扱えばボールが飛ぶのか体感してもらうため、足幅を狭めてステップせずに打つティー打撃を推奨した。
注意点は「足を回転させてもいいけど、ステップして広げない」こと。この状態でトスされたボールを打つのだが、右打者に対しては逆方向の「ライトには打たないでください。どうすれば、センターからレフトに打てるかを考えてください」とテーマを与えた。
実際にやってみると、体を大きく回して打とうとする選手ほど、意図とは逆に打球はライト方向へ飛んでいった。引っ張ろうとバットを振っているのに、なぜ打球は逆方向に飛んでいくのか。

高めたいバットを操る能力…効果的な“手で振る感覚”のティー打撃
理由は「バットの長さ」と「遠心力」にある。バットを持たずにスイングすれば、手は体の近くを通る。しかし、実際の打撃では手の先にバットのヘッドがある。体を回して引っ張ろうとするほどバットに遠心力がかかり、ヘッドが背中側に倒れて遅れて出てくる。「直線的に出てこない」ため、振り遅れて逆方向へ飛んでしまうのだ。
引っ張るために必要なのが、体の回転を抑えて手で振る感覚だ。「手だけで振って、引っ張れるポイント感覚を知ってほしい」。体を固定してハンドリングだけでボールを捉えてみる。そうすることでバットが体の近くを通り、ヘッドが返るポイントを掴めるのだ。
「今は色々な打ち方があるけど、まずはバットを扱えないと打てるものも打てない」
バットという長い棒を意図通りに操る能力があって、体重移動や回転といった理論が初めて活きてくる。まずは足を揃え、飛ばなくていいので狙った方向へ打ってみる。細かな技術や理論を子どもたちに言葉で伝えても、体で表現することは難しい。まずは遊び感覚でバットの扱いを習得することが、打撃向上の近道になる。
(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)
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