“旧態依然”のティー打撃では「間に合わない」 投手優勢の時代に必要な「0.4の環境」

鷹のスキルコーチ・菊池タクトさん推奨…「0秒4から0秒5以内」に収める打撃練習
近年の野球界は「投高打低」の傾向が強まっている。打者はキレのある直球や、鋭く曲がる変化球にどう立ち向かうべきか。米国でコーチングを学び、ソフトバンクのスキルコーチを務める菊池タクトさんは、バッティング練習における「難易度の設定」が重要と説く。
「10球中1本も打ち損じしないような、気持ちよく打てる打撃練習は、試合での難易度としては不十分です。大切なことは、練習の時からあえて“ミスが起こる環境”を作り、そのミスに対して選手がいかに工夫し、アジャストしていくかということです」
菊池さんが注目するのは、打者の判断と反応の速度だ。現在の投高打低の一因として、投手がボールをリリースした瞬間から打者がインパクトを迎えるまでの“時間”に対応しきれていない点にある。その時間とは、球速140キロであれば「約0秒44」だ。
そこで菊池さんが推奨しているのは、リリースからボールを打つまでの時間を「0秒4から0秒5以内」に収める打撃練習だ。
「通常のフリー打撃であれば、投手は打者のリズムに合わせてゆったりと投げることが多いです。ソフトバンクでも、昨春のキャンプで最初に計測した時は大体0秒6から0秒8でした。しかし試合では、投手は打者に合わせてはくれません。ある程度一定のリズムの中で反応スピードを速くする環境を作り、それに対して選手が常に準備して打つことが有効だと考えています」

「きれいな形で打つ」より重要な「スピードに対抗できる準備」
「0秒4」を実現させるために、菊池さんは打撃投手にも注文を出す。
「打者に対して差し込んでいい、振り遅れさせていいと伝えています。きれいなフォームで打ち返させることより、まずは速い反応を強制的に引き出す。差し込まれた結果、自分の動作のどこに無駄があるのか、どうすればタイミングを早く取れるのかを体で覚えることが重要です」
ティー打撃でも徹底的に「0秒4」のトスにこだわる。ここで重要になるのは必ずネットを置き、投手方向からトスを上げてもらうことだ。“定番”の斜め前方からトスされるティー打撃では、打者が差し込まれた際に投げ手へ打ち返される危険があるため、トスがどうしても緩くなりがちだ。その結果、テークバックが大きくなったりドアスイングの悪癖を助長したりする恐れがある。
「0秒4の世界では、考えている余裕はありません。リリースの瞬間に体が無意識に反応してバットが出てこないと間に合わないのです。この反応速度とメカニックをリンクさせる練習を、育成年代から行っていくべきです。きれいな形で打つこと以上にスピードに対抗できる準備を身につけることこそが、真の打撃向上に繋がります」
失敗を恐れず、練習から意図的に自分を追い込む環境設定こそが、第一線で活躍するための土壌となる。菊池さんは2月2日から開催の「打撃改革3DAYS」に出演予定。「0秒4」の世界を生き抜くためのメソッドを紹介する。
少年野球で役立つ“明日から使える”指導法を紹介…「打撃改革3DAYS」開催
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【打撃改革3DAYS・詳細】
hhttps://first-pitch.jp/article/well/batting/20260116/14403/
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(内田勝治 / Katsuharu Uchida)
球速を上げたい、打球を遠くに飛ばしたい……。「Full-Count」のきょうだいサイト「First-Pitch」では、野球少年・少女や指導者・保護者の皆さんが知りたい指導方法や、育成現場の“今”を伝えています。野球の楽しさを覚える入り口として、疑問解決への糸口として、役立つ情報を日々発信します。
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