素振りは日本特有も「大事にすべき」 MLB注目、公園練習にも使える“画期的バット”

「水バット」で打撃を指導する福原芳之さん【写真:喜岡桜】
「水バット」で打撃を指導する福原芳之さん【写真:喜岡桜】

素振り専用の「水バット」開発…「J-PARK」代表の福原芳之さん

 世界の野球用品市場で高いシェア率を誇るメーカーが数多くある日本で、また画期的なアイテムが誕生し、注目されている。素振り専用バットの「水(アクア)バット」は、一般的なバットと長さや太さは変わらないが、全体が透明な素材でできていて中は空洞になっている。ヘッド部分の蓋を外し、色がついた水を注げば、これまで想像するしかなかったスイング時の力の伝わり方を可視化できるのだ。

 開発者で、室内練習施設・野球塾「J-PARK」(徳島県小松島市)代表の福原芳之さんは「水だからこそ子どもたちにも分かりやすい」と語る。同施設や中学硬式野球チーム「徳島阿南シティホープ」で地域の子どもたちを指導しながら、手応えを感じている。

「スイングした時、ここに力が入っているのか、重心はここにあるのか、ということも水で分かります。僕の大好きな練習道具に、2010年代後半に出てきた、正しい軌道で振れた時に音が鳴る『カウンタースイング』というバットもありますが、子どもが仕組みを理解するには少し時間がかかります。液体は視覚的に捉えられて分かりやすいんです」

 さまざまな競技でスイングなどのフォームを固める手段として素振りがあるが、実は日本特有の“文化”である。長嶋茂雄氏が巨人監督時代、松井秀喜氏を4番打者に育てるため素振りを重視したことは広く知られている。素振り文化のない米球界などを例に、近年は日本でも“不要論”を唱える人がいるが、福原さんは「大事にすべき」と語る。

日本特有の素振りの重要性を説く福原さん【写真:喜岡桜】
日本特有の素振りの重要性を説く福原さん【写真:喜岡桜】

2025年2月に発売→6月にメジャーリーガーが使用して話題に

「自宅や、最近ではボールを投げたり打ったりすることが禁じられている公園も多いので屋外もそうですけど、今は自分でできる練習って限られるんです。素振りなら、限られたスペースでも1人でもできる。ボールを打つことだけが上達への道ではないとも思っています」

 素振りの質を高めることを目的に、2025年2月に「水バット」を発売すると、フォロワー総数12万人を抱える福原氏の各種SNSを通して海外へ広がり、同年6月にはハリソン・ベイダー外野手(当時ツインズ、現ジャイアンツ)が使用したことがMLBの公式SNSで紹介された。台湾や韓国のプロ野球界でも愛用する選手が現れ、またたくまに世界から注目されるバットになった。

 黙々と素振りするだけでなく、スイングに合わせて水が変幻自在に動くため、水遊びが好きな年ごろでもある野球初心者の子どもたちも楽しさを感じられるのではないだろうか。「いろんな人が使ってくれることで、僕が思い描いたことから、さらにこのバットの意義が広がっていくはず」と思いを表した。

 2026年1月、福原さんは野球での賑わいづくりを推進している徳島県阿南市や、県学童野球連盟加盟の全86チームに「水バット」を寄贈した。子どもたちが野球を楽しみながら自然と練習の質が上がり、上達するようにという願いが込められている。

 福原さんは2月9日に開催されるイベント「打撃改革3DAYS」の第二夜に講師として出演予定。“本物の打撃”を身につける方法を紹介する。

少年野球で役立つ“明日から使える”指導法を紹介…「打撃改革3DAYS」開催

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(喜岡桜 / Sakura Kioka)

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