伸び伸び振っても「試合で打てない」 あえて窮屈に…中学強豪の“全力600スイング”

打力アップへ長崎ポニーが重視する素振り…片手で100、両手で400、逆で100
打力向上へ、打撃練習の基本である素振りに力を入れている。中学硬式野球の「長崎ポニーベースボールクラブ」は2022年4月に創設。間もなく、活動5年目に突入する。過去4年間で全国大会に4度出場し、最高成績は3位。一気にチームを強化した長崎県出身の松尾大吾監督が、練習に取り入れている“全員での素振り”の狙いを説明した。
1時間半以上の入念なウオーミングアップの次に、長崎ポニーが行うのが全員での素振りだ。まずは片手スイングで、連続50回を2セット。右打者は左手一本、左打者は右手一本でスイングする。意識するのはバットを持つ手の肘の位置。「肘を体の真ん中、胸の前につけて振るイメージです」。
肘を胸につけると、自然と脇が締まる。「脇が空いてしまうと、バットが遠回りして力が逃げてしまいます。強く振れませんし、強い打球が打てません」。脇を締めた状態からミートポイントまで最短距離でバットを出す。インサイドアウト軌道でコンパクトにスイングするよう指導している。片手なので、力のない選手は短く持って形を作る。
片手で作ったイメージのまま、次は両手での全力スイングに移る。回数を声出ししながら連続100本。1分ほどの休憩を挟みながら、それを4回繰り返すのだから「中学生にとっては全力でこれだけ振るのはハードだと思います」というのも当然だろう。最後は両腕がパンパンになってきて、選手は苦悶の表情でスイングを続ける。
「強い打球を打てるようになるため、強く振れるようになるための練習です」。チームのスローガンは「打ち勝つ」。そのためには日々の素振りが欠かせない。松尾監督からは「上半身はリラックス!」「下半身で振れ!」「へそは投手に見せずに隠せよ!」などの声が飛び続けた。

「気持ちよく振らせても、試合では打てません」
スイングで強く意識させるのは「窮屈に振ること」。伸び伸びとスイングさせると大振りになる傾向が強まるため「気持ちよく振らせても、試合では打てません。窮屈に振るということは、右打者はしっかり右肘を入れて、自分の懐に近づけてコンパクトにスイングするということ」と説明。「惰性ではなく、全力で振り続ける中で左肩を開かないよう意識させています」と続けた。
最後は逆の打席、右打者は左打席でスイングを100本連続で行う。「本当は同じ数だけ逆のスイングをしたいんですけどね。両手でのスイングを400したら、逆スイングも400やるのが基本でしょうけど、まだ体ができていないので無理はさせられません。それでも最後にバランスを戻してやらないといけません」。
片方の打席で全力スイングを続けると、どうしても一定の箇所に負荷がかかってしまう。反対方向への動きを加えることで、少しでも解消する狙いがある。
打撃練習の基本である素振りも、漠然と振っていてはなかなか上達しない。どういうスイングをどれだけ全力でやれるか。最後の“逆スイング”を含め、高い意識を持って取り組むことが、打力アップにつながっていく。
(尾辻剛 / Go Otsuji)
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