SNS開設で部員は増える? 「きっかけ作り&ファン拡大」の効果も…守るべき“軸”

マネージャーサミットの様子【写真:磯田健太郎】
マネージャーサミットの様子【写真:磯田健太郎】

「マネージャーサミット」で現役部員と教員に聞いた…SNS開設の「実際の効果」とは

 1月18日に東京都立新宿高校で、高校野球部のマネージャーによる「第3回マネージャーサミット」が開催された。工学院大学附(東京)が主催となり立ち上がったこのイベントは、普段は“横の交流”がない高校野球のマネージャー同士が、一つのテーマに対して議論することで知見を持ち帰り、より良い部の運営・発展に活かしていくことを目的としている。

 今回は「指導者と選手の関係を円滑にするために…。 マネージャーは潤滑油になれるのか」をテーマに、東京都、神奈川県、埼玉県の15校の生徒が参加、意見を交わした。サミット考案者の一人である工学院大附の塚本和也教諭は、「マネージャーはグラウンドに出て一緒にプレーはできませんが、選手と同じで甲子園の心を求め続ける同志です。選手と立場は違えどやれることはもっともっとありますし、自分たちのできることを探求して欲しい思いでテーマを定めました」と語る。

 様々な角度から議論が飛び交ったが、どの高校も活用しているのが、SNSでの情報発信だ。サミット参加校15校のうち過半数の学校が野球部のアカウントを持ち、主にマネージャーが情報を発信している。

 マネージャーの役割といえば、練習の補助や選手の補食の準備、公式戦ではベンチに入りスコアを記入することが思い浮かぶが、近年の業務はグラウンドだけではない。大きな役割を担うのが、SNSの更新だ。どの高校も「新入部員獲得や保護者への報告」を主な開設理由とし、定期報告のみの学校もあれば、精力的に日々投稿を続ける学校もある。実際に、SNS開設が生んだ効果とは。関係者に話を聞いた。

 都立片倉でマネージャーを務める小野塚爽空さん(2年)は、SNSを始めて数年のため大きく部員が増えたわけではないと話すも、「見学に来た中学生から『インスタで見たことがあった』『インスタで見た練習でした』と反応をもらえました」と語る。都立狛江の黒田一輝監督は、「他の学校で、部員が全然いなかったはずがSNSの投稿を見て雰囲気がわかったから入部したという話は聞きますね。十分なきっかけになっていると思います」と評する。

 部員確保や保護者への報告にとどまらない使い方もあった。激戦区・神奈川県の強豪、立花学園の山田智希副部長は「地元のファン作り」のために活用していると話す。「立花学園の目的は“神奈川の頂点を取る”ことなので、ファンを作ることが必要になります。その手段としてSNSを活用しています」。

各班に分かれ議論し意見を発表しあった【写真:磯田健太郎】
各班に分かれ議論し意見を発表しあった【写真:磯田健太郎】

SNSからファンを増やすために…絶対にぶらさない“軸”

 立花学園は、神奈川県の足柄上郡松田町に位置する。周囲には高校が少なく、地域密着のイメージが強いという。「街に一つしかない高校なので、地域のファンを作れるようにSNSで発信しています」と山田副部長。練習や試合の様子だけでなく、選手の誕生日を祝う様子や、スタンドで歌われる応援歌の解説動画も投稿。2023年2月に開設したアカウントは、フォロワーが2500人を超えるまでになった。

 マネージャーのアイデアには、稀に方向性の合わない提案もあるという。その際、山田副部長は「“軸”を絶対にぶらさないことを大切にしています。あくまでファンを作るための手段なので、目的に対して『これは適切じゃないよね』っていうのをちゃんと線引きするようにしています」。トップダウンではなく、チームを運営し勝利に導く一員と認めているからこそ、対等な目線でチームのために何が必要かを一緒に考える。

 一方で、“デジタルネイティブ”な世代だからこその発想もある。「インスタグラムのストーリーズ機能で新入生向けに質問箱をやりたいと提案してくれて実施しました。想像以上にたくさんの質問が集まって、保護者や選手からも部の雰囲気がわかって良かったと好評でしたね。驚きでした」と目を丸くしながら、「生徒たちが熱中しやすい分野だと思うので、これからも楽しんで考え続けていってほしいですね」と優しい口調で語った。

(磯田健太郎/Kentaro Isoda)

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