投手育成へ導入した田中将大の「魔改造」 下半身の力をロスなく活用…強豪校の斬新練習

九州文化学園高・香田勲男監督が導入…“平均台”を使ったシャドーピッチング
急激に力を伸ばしてきた強豪校は、プロ野球選手の練習方法も効果的に取り入れている。巨人、近鉄で投手として活躍した香田勲男氏は、九州文化学園高の野球部監督に就任して5年目を迎えている。昨夏の長崎大会では準優勝。春夏通じて同校初の甲子園出場まであと一歩に迫った。昨秋の長崎大会もベスト4。手腕を発揮する中で、柔軟な思考で行う練習法を明かした。
投球フォームは選手の個性を大事にする香田監督だが、ロスなく球に力を伝えるためにステップの注意をすることがある。踏み出す足が大きく開いたり、逆にクロスしたりすると制球も安定しない。まずは真っすぐ踏み出すことが大切だ。
昨春、プロ野球では巨人・田中将大投手が久保康生コーチの指導を受け、平均台を思わせるような板の台の上でフォーム固めを行った時期がある。横幅約50センチ、長さ約1メートル50センチ、高さ20センチほどの台の上では真っすぐステップしないとバランスを崩して落ちてしまう。“魔改造”と話題になったその練習を、九州文化学園も取り入れているという。
「久保さんとは阪神コーチ時代に一緒にやりましたし、参考になりますね。長崎の大工さんにお願いして、マー君が練習していた平均台のようなものや、傾斜がある台をつくってもらって練習しています。シャドーでの矯正法です」
グラウンドに隣接する合宿所にはウエートトレーニング場や、軽く体を動かせるスペースがある。雨の日などはそこで平均台に乗り、シャドーピッチングをして、真っすぐにステップするフォームを固めることがあるそうだ。

“ナンバ走り”で下半身強化「足をしっかり上げて、膝を前に出す意識で」
「実際に投げなくても、シャドーでフォームを固めるのはいいことだと思います。鏡を見ながらやったり、今の時代は誰かに動画を撮ってもらいながらフォームづくりをしたり、確認することができます。それは非常に大事なことです。その日投げていて気づいたことがあったら、シャドーでもう1回確認するのもいいですね」
他にも阪神コーチ時代のつながりで取り入れる練習が、この冬から増えている。権田康徳トレーナーの助言を受け、ウオーミングアップに腕の振りが少ない“ナンバ走り”を導入。「そんなにきつくはないですけど、手を使わないで走るんです」。両手を腰に当てたまま走ったり、両手を腰の後ろに回して下半身だけ使ってランニングする。
腕の振りや上体のひねりが少ないため効率が良く、楽な走り方とされるナンバ走りだが、下半身の体幹強化という目的がある。「足をしっかり上げて、膝を前に出す意識でやらせています。マーカーを置いて、どんどん歩幅が広がるような練習になっています」。無駄のないフォームを身につけ、走力アップにつなげている。
プロ野球選手の練習方法は、体が出来上がっていない成長期の子どもが取り入れても、有効なものがいくつもある。投げるにしても、走るにしても、無駄の少ないフォームを習得すれば、怪我の防止にもつながるのである。
(尾辻剛 / Go Otsuji)
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