最も三振を取りやすい投球フォームは? 学生がデータ検証…“伸びる直球”生む3ドリル

データで証明された「最も三振が取りやすい」フォームとは(写真はイメージ)
データで証明された「最も三振が取りやすい」フォームとは(写真はイメージ)

野球データ分析競技会で中大チームが発表…伸びるストレートとは

 伸びのある直球を投げるためのドリルを紹介した。「第5回野球データ分析競技会」の決勝プレゼンテーションが15日に都内で行われ、事前の審査を通過した6チームが登壇。中央大学iDS酒折ゼミチームは「ストレートの『伸び』の正体を探る!」をテーマに発表し、球速アップのドリルにも言及した。

 今後の野球界を支える、データと指導現場をつなぐアナリストやデータサイエンティスト、コーディネーターの育成を目的とし、学生(高校、大学、大学院)が1〜3人1チームで、野球のトラッキングデータを与えられた時間内で分析。その発表内容を競うイベントの決勝プレゼンに中大からは2チームが進出し、個性的な提案を繰り広げた。

「空振りを取れるストレートを生み出す要因を探りました。なぜ空振りを取れることを重要視するのか。グラウンドに飛んだ打球は約3割の確率でヒットになると言われています。どんなに捉えた打球でも野手の正面に飛べばアウトになる。詰まった打球でも内野安打になることもある。ただ、バットに当たらなければインプレーは発生しない」

 空振りを奪える直球を探って、左腕と右腕に分けて初速と終速を含めた球速やホップ、回転数などを分析。利き腕に関わらず、球速が速く、ホップする球の方が空振りを奪う確率が高いことを導き出した。ホップに関しては「ボールの縦方向への変化量」が重要と推測。「左右ともにボールの回転軸が縦方向への変化量に影響を与えているとの解釈を得られた」と説明した。

 その結果により、下手投げや横手投げより、上手投げの方が空振りを奪える直球を投げられる可能性が高いと解説。「ストレートの伸びの正体は、球速が速く、さらに縦方向への変化量が大きい。つまりホップする、浮き上がる球になる。そのような時に空振りを奪いやすいと言える」と結論づけた。

表彰を受ける中央大学iDS酒折ゼミチーム【写真:尾辻剛】
表彰を受ける中央大学iDS酒折ゼミチーム【写真:尾辻剛】

縦回転をかける練習と体重移動、下半身の筋力強化

 中大iDSゼミチームの3人は、球の縦回転と球速アップを目的としたドリルを3つ用意。1つ目は縦回転をかけるために仰向けに寝て、球を真上に投げる練習だ。「球の縫い目を黒く塗って、回転を見やすくする。可視化することによって、うまく回転をかけられた時の手首や肘の使い方を記憶するのが目的です」。

 注意するのは利き腕の肘の位置。下がったままの状態で投げていると肘の可動域が狭く、手先だけの練習になってしまう。ブルペンなどでの投球練習同様、球速を上げるには手先だけでなく肩と腕をしっかり使う意識が必要となる。

 2つ目は下半身の重心移動をマスターするため、腰にひもやチューブを巻きつけ、後方から軽く引っ張られている状態で投球フォームを習得する。「軸足から踏み込む足に、しっかり力を移動することを自分の感覚として記憶するための練習です。後ろから前に爆発的な力を発揮するためです」。

 次のステップとして球をメディシンボールに変更することで、爆発力が増すと強調。下半身を上手に使うことで、肩や肘への負担が軽減し、怪我のリスクも減少すると説明した。

 3つ目はバーベル種目。スクワットやデッドリフトで投球動作で必要となる体幹や大殿筋を鍛えると同時に、ハムストリングスや脊柱起立筋、腹直筋、腸腰筋なども強化できる。「体の安定性を高めるアイソメトリック運動で、競技力向上に直結します」と力を込めた。

 伸びのある直球が投げられれば、空振りを奪える可能性が高まる。バットに当てられなければ、確実にアウトを奪える。バッタバッタと三振を奪う剛腕は、投手なら誰もが一度は目指す理想像。3つのドリルが、剛速球を生み出すかもしれない。

(尾辻剛 / Go Otsuji)

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