低学年に「遠くに飛ばす快感」をどう与える? 沖縄指導者が大事にする“打撃の野性味”

打撃を実演する知念大河さん【写真:橋本健吾】
打撃を実演する知念大河さん【写真:橋本健吾】

琉球アスリートベースボールアカデミー・知念大河さんが教える野球を楽しむ第一歩

 野球を始めたばかりの小学校低学年の子どもたちにとって、大きな喜びはバットでボールを捉え、遠くへ飛ばす瞬間にある。その醍醐味を存分に体験させ、野球を好きになってもらう方法とは。巨人の育成ドラフト5位ルーキー・知念大成外野手の兄で、沖縄の「琉球アスリートベースボールアカデミー」で指導する大河さんは、技術よりも「飛ばす快感」を優先すべきだと提言する。

 野球を続ける原動力は「打てる楽しさ」にある。しかし、初心者の子どもにとって、重いバットで小さな硬いボールを正確に捉えるのは至難の業だ。空振りが続けば、野球そのものに苦手意識を持ってしまいかねない。知念さんは「この感覚が楽しくて自分も野球を始めました」と振り返る。まずは成功体験を積み重ね、ボールを遠くに運ぶ感覚を体に染み込ませることが、技術向上に向けた土台となる。

 具体的な練習方法として、知念さんは「軽いバットと軽くて大きいボール」の使用を推奨している。プラスチック製のカラーバットやビニール製の大きなボールなど、空振りしにくい道具を用意することがポイントだ。この練習の目的は遠くに飛ばすことにあるため、体を大きく使ってのフルスイングを意識させる。道具の軽さを活かして、全身でスイングする力を養っていく。

 指導やサポートにあたる保護者が注意すべき点は、打撃フォームを細かく指摘しないこと。知念さんは「突っ込んでるとか、足が折れてるとか別に気にしなくていい」と語る。考えさせるのではなく、本人が「楽しい」と感じる動きで振り抜くことが重要だ。大人は技術的な欠点に目を向けるのではなく、どれだけ飛んだかという結果を一緒に喜ぶ姿勢が求められる。

 練習中の声かけについても、「遠くに飛ばしてよ」といった前向きな言葉だけで十分だという。純粋に飛距離を競うような雰囲気を作ることで、子どもは自然と体全体を使って振るコツを掴み始める。

 昨夏は沖縄尚学が甲子園で優勝を果たすなど、沖縄の野球は注目を集めている。知念さんは技術を身につけることも必要としながら「まずは野球を楽しむ。その本質を大切にしてほしい。子どもの時は本能、野性的な動きでプレーすることも大事」と強調する。無理に型にはめようとせず、伸び伸びとバットを振る環境を整えることが、結果として力強いスイングを生む。まずは「飛ばす喜び」を心に刻ませ、野球の虜にさせることから始めてほしい。

(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

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