「引いたら食われる」岸田護監督が明かす“悔い” 刻まれる「10.2」…オリックス特別対談【後編】|坂口智隆のやるかやらんか

オリックス・岸田護監督(左)と坂口智隆氏【写真:加治屋友輝】オリックス・岸田護監督(左)と坂口智隆氏【写真:加治屋友輝】

岸田監督が現役時代にもっとも優勝に近づいた2014年を回顧

 オリックスの苦しい時代をともに支え、ファンから愛された岸田護監督と坂口智隆氏が、シーズン中に監督とインタビュアーという立場で顔を合わせることになった。気心の知れた球団OBだからこそ引き出せた、岸田監督の素顔と野球への深い愛情や現役当時の思い出話など、2人の特別な絆と熱い本音が詰まった貴重な対談をお届けする。全2回の後編。

――岸田監督が現役時代、もっともリーグ優勝に近づいた年が2014年。優勝したソフトバンクを上回る80勝(62敗2分)を挙げながらも、勝率の「2厘」差で惜しくも2位となった。勝てば優勝を手中に収める“10・2決戦”も思い出深い試合だった。

岸田護監督

すごく覚えてますね。たしか2番手でいって1回1/3を投げてたかな。内川(聖一)に投げたカウント1-1からのアウトコース真っすぐ。あれが一番危なかった。ファウルになったけど、良く通ったと思ったもん。チーム全体でも緊張感はあったし、やるかやられるか、の境目っていうところでね

坂口智隆氏

めっちゃ覚えてますね。僕も活躍したんですよ?

岸田監督

代打でチャンス作ったよね。原拓(原拓也)のタイムリーで同点のホームを踏んで、打者走者は二塁でアウトになってね

坂口氏

そこまで覚えてるんや。僕は忘れてたわ。やっぱ勝ち切れない流れになってたんかな。負けてたけど同点に追いついて。最後は(アレッサンドロ・)マエストリが際どいコースを全部ボールって言われてね(3四球で敗戦投手)。あれ、いま見返してもストライクだと思うんですけどね……

岸田護監督は2014年、選手としてプレーした【写真提供:産経新聞社】岸田護監督は2014年、選手としてプレーした【写真提供:産経新聞社】
岸田監督

勝つか負けるかの試合でグーっと小さくなっていく選手と、気が立つ選手。はっきり見えた試合やったと思う。でもまあ、楽しかったよね。いい試合だったと思う。最後はやっぱり『引いたら食われるねんや』っていうのはあると思う。勝負事っていうのは。それは感じましたね。でも、ああいう痺れる試合を経験できたのはよかったよね

2015年、坂口氏はオリックスを退団…移籍したヤクルトで復活

――その後、坂口氏は2015年オフにオリックスを退団し、翌年からはヤクルトに入団しレギュラーに定着した。2018年にはキャリアハイの打率.317をマークした。

岸田監督

オリックスを退団した時はビックリしたよ。もちろん、現役やったし何にも知らんかったからね。色々あっての退団やったと思うから。でも、そこからしっかり結果を残した。僕のなかでは当然の結果というか、坂口は絶対打つやん、みたいな。でも、連絡くれて話した時に『一番に声かけてくれたところに決めます』って言うてたから。偉いな、すごいなって

坂口氏

色々ねぇ……えぐい大減俸やったんですよ、マジで(笑)

坂口氏

額面みて汗かいたの初めてで…(笑)。でも、お金の問題よりも、勝負させてほしい部分が一番やった。あと、マモさんは背中押してくれて、ありがたかったですよ。『自分で決めたのが正解やで』と言うてくれましたもんね」

坂口智隆氏【写真:加治屋友輝】坂口智隆氏【写真:加治屋友輝】
岸田監督

うん、その時のことはほんまに覚えてるわ

――坂口氏はプロ19年目の2021年、日本シリーズ初出場を果たす。相手は古巣・オリックス。第2戦で宮城大弥投手から左前打を放った。

岸田監督

僕は選手としてリーグ優勝、日本一は経験できなかった。経験したかったけど、それは巡り合わせもあるし。(坂口氏は)移籍してから活躍して、最後は日本一経験者やもんな

坂口氏

いや、でも……。もどかしいっすよ。そのシーズンは何もしてないので(2021年は25試合出場で打率.160)。CSのバックアップに入って、日本シリーズもバックアップだった。1試合目はずっとロッカーにいて試合を見て、ベンチ入りもしてない。1戦目で負傷交代した選手がいて。そしたら、次の日にトイレで『スタメンいってくれ』と急遽言われて。

シーズンで働いてないのに、その舞台に立っていいんかな? みたいな。だから気持ちの中では、ほんまの優勝じゃないですよ。レギュラーとしてやりたかったっていうのがあるから

岸田監督

でも、宮城からヒット打ってるもんね。だから、“お祭り男”的なところがあるよ。それはすごい大事なところやと思う。プロ野球選手として、勝負強さとか。それがプラスに働かないといけない部分もあるから。僕はその時、2軍の投手コーチでフェニックス・リーグが終わったぐらいだったかな。

どっちかっていうと自分が担当しているところを見ているんで。若い子が上がったら『おー頼むぞ!』っていう心境。ドキドキする親心みたいな。全員を応援していますけど、送り出したピッチャーが、『あ、抑えてくれた』『そこ投げ切れんかったか』とかね。そういう心境やったかな

岸田護監督【写真:加治屋友輝】岸田護監督【写真:加治屋友輝】

岸田監督が坂口氏を推薦!?「監督とかやったら面白いんちゃうか」

――2人の軽快なトークは止まらず、予定されていた時間も押しに押し、インタビューも佳境に入ってきた。現在、坂口氏は解説者として古巣・オリックス戦を解説し、心の中で応援を続けている。

岸田監督

(対談当日の試合を解説する坂口氏へ)このあと、冷やかしやろ?(笑)

坂口氏

そんなことない!(笑) ちゃんと応援もしてますから。僕は外から好き勝手いえる立場ですから

岸田監督

うそうそ。ほんと、良いこと言っているよね。ワンポイントで『あ、確かに!』と思うこと多いもん。でもコーチ(の坂口氏)とかも見てみたいよね。うーん……いや、コーチはちゃうか。なんかコーチやったらお前の色が消えてまうもん

坂口氏

どっちなん!?(笑)

坂口智隆氏の今後に岸田護監督も期待【写真:加治屋友輝】坂口智隆氏の今後に岸田護監督も期待【写真:加治屋友輝】
岸田監督

ははは。監督とかやったら面白いんちゃうか。なんかお前っぽい

坂口氏

ほんまっすか? 監督やってみたいですよ。誰か新球団設立してください。お願いします!

(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

坂口智隆のやるかやらんか

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