酷使なら「小学6年生で投げられなくなる」 怪我を防ぎたい商品担当の思い
右肘の負荷を数値化できる「パルススロー」、ソフトバンク・和田も共感
二刀流の完全復活を遂げたエンゼルスの大谷翔平投手も愛用するパルススロー(以下、パルス)は今や、メジャー30球団のほとんどが導入している。一流選手の怪我防止とパフォーマンスアップに不可欠となっているが、パルスを扱うオンサイドワールドのゼネラルマネジャー・八木一成さんには、子どもたちへの強い思いがある。【間 淳】
「テクノロジーを使って、もう少し科学的にアプローチできれば、怪我で野球をあきらめる選手を救えるのではないか」
八木一成さんがゼネラルマネジャーを務めるオンサイドワールドでは、肘のストレスを数値化する「パルス」を取り扱っている。エンゼルスの大谷翔平投手が練習で右肘につけている黒いバンド。そのバンドに搭載している重さ6.9グラムのセンサーが「パルス」だ。過去のトレーニング強度や蓄積された肘の負荷量、疲労度、設定したスケジュールから、その日にどれだけの量と強度を肘にかけて練習するのがベストなのか数値で示される。怪我の予防はもちろん、パフォーマンス向上にもつながるとして、活用しているメジャーリーガーは多い。
日本でも認知度が高まっており、使用するプロ野球選手も増えている中、八木さんは子どもたちや指導者にこそ、知ってもらいたいと力を込める。最近になって日本でも導入され始めた球数制限に「甲子園の高校球児を中心に、投げ過ぎてボロボロになっていく選手を見てきた。肉体の限界を超えて投球する姿は見ている人を感動させる素晴らしさがある一方、スポーツの文化としてはどうなのかなと疑問を感じていた」と語る。
高校野球の連投や過度な投げ込みは、肘や肩への負担が大きいという認識は広がってきている。ただ、実は小学校高学年や中学生で肘を故障し、投手を続けられなくなる選手は少なくない。思考力や判断力が十分ではなく、自分で練習や投球を調整するのが難しいためだ。だからこそ、子どもたちも指導者も肘の状態を正確に把握し、数値によって肘を休ませる決断が重要になる。八木さんは「子どもたちが投げたいと言った時、監督がどのようにストップをかけるのか。肘の疲労度を数値化すれば、監督は子どもたちに投げさせない根拠を示すことができるし、ドクターと指導者の間にある考え方の差を埋めることもできる」と説明する。
(First-Pitch編集部)
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