名将が「天性のリーダーシップ」と絶賛 168センチの大阪桐蔭主将の統率術
入学時からキャプテン向きも「メンバーに入れずもどかしかった」
第94回選抜高校野球大会は3月31日、阪神甲子園球場で決勝が行われた。大阪桐蔭が近江(滋賀)に18-1で大勝し、選抜は4年ぶり4度目、春夏合わせると9度目の優勝。他校を圧倒した“最強軍団”をまとめ上げていたのは、身長168センチの小柄なキャプテン・星子天真(ほしこ・てんま=3年)だ。
「天性のリーダーシップがある子です」。名将・西谷浩一監督は星子をそう称賛する。「ウチはキャプテンを中心にチームを作っている。私が何かを言う必要がないくらい、キャプテン、副キャプテンがチームメートに声をかけてくれていますよ」と全幅の信頼を置いている。
大阪桐蔭は28日の準々決勝・市和歌山戦で、1984年にPL学園が樹立した大会記録に並ぶ「1試合6本塁打」をマークし、17-0と大勝した。普通の高校生であれば、次の試合はつい大振りになるものだろう。ところが西谷監督は「私が注意する前に、キャプテンから『コンパクトにいこう』と声が飛んでいました」と振り返る。実際、続く準決勝・国学院久我山戦でもナインに増長するところはなく、19安打13得点で快勝したのだった。
ただ「入学してきた時からリーダーシップを持っている子だと分かっていましたが、なかなかベンチ入りメンバーに入れず、星子自身それがもどかしかったようです」と西谷監督は見ていた。昨夏の甲子園では、同学年で捕手の松尾汐恩、投手の川原嗣貴、別所孝亮らが1学年上の先輩たちと一緒に戦っていたが、星子はアルプス席にいた。それでも「新チームになって、みんなで誰をキャプテンにしようかと話すと、星子がいいという声が多かったですし、私もそれが一番いいと思いました」と指揮官は明かす。そして「自分たちの代になって、星子は初めてメンバー入りし、レギュラーにもなった」。抜群のリーダーシップに、野球の技術が追いついてきた格好だ。