なぜ野球用品は高い? “カラクリ”生む現状に疑問…初心者用グラブを安く売るワケ

フィールドフォースが初心者用グラブを安く売るワケ
フィールドフォースが初心者用グラブを安く売るワケ

フィールドフォースが新しい少年野球用グラブを開発

 改良を加え、さらに柔らかくなった。野球用品を製造・販売する「フィールドフォース」が、捕球のしやすさを追い求めて開発した初心者用グラブ。価格は税込みで4400円で、グラブとしては破格と言える。ただ、吉村尚記社長は「決して安売りをしている感覚はなく、適正な利益を得ています」と強調。野球用品が高騰する現状に疑問を投げかけ、仕組みを変えようとする決意の表れだった。

 フィールドフォースは昨年、少年野球用グラブをプレゼントする「グリーングラブプロジェクト」を実施。野球人口の減少に歯止めをかける取り組みの一環で、計2000個を無償で子どもたちに届けた。

 2回の応募期間には、予想をはるかに上回る申し込みがあったという。吉村社長は初心者向けのグラブが市場に不足していると実感し、「少年野球を応援している会社として、ノウハウを一番注入しないといけないのは初心者向けのグラブ」と新たなグラブの開発を決めた。

 販売を始めた「Stage1 グリーングラブ」は、昨年プレゼントしたグリーングラブに改良を加えた。一般的なグラブは、ウェブと呼ばれる網目の上の部分にレースが巻き付けられている。グラブの強度を高める効果がある一方、グラブが硬いと感じる原因となっている。吉村社長は「速い打球、強い打球を捕る時には強度が必要です。ただ、初心者に大切なのは、柔らかく捕りやすいグラブ」と考え、レースをグラブの中に通して、外側には切れ込みを入れた。これによりグラブが閉じやすくなり、握力の弱い子どもでもボールが捕りやすくなったという。

 指を入れる部分にはスポンジ素材を使用した。通常使われている革の場合、手に当たった時に痛いと感じる子どももいる。手袋のように柔らかい感触を目指し、初めてスポンジ素材を取り入れた。親指に力が入る構造や、素材に牛ではなく豚の革を選んだことも、捕りやすさにこだわったためだ。

なぜ4400円で利益出る?「自分たちの工場でつくったものをダイレクトにお客様に」

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