「面白いと思ったら『野球だった』でいい」 五十嵐氏と岩隈氏が作る“きっかけ”
五十嵐亮太氏と岩隈久志氏が野球未経験者と初心者を対象にしたイベントに参加
きっかけは「遊び」。2人のメジャーリーガーの思いは同じだった。日米で活躍した元メッツの五十嵐亮太氏と元マリナーズの岩隈久志氏が12日、都内で開かれた「MLBジャパン」主催の野球教室「PLAYBALL Weekend in Japan」に参加。野球の裾野拡大へ、未経験者と初心者にグラブやボールを使う楽しさを伝えた。
輝かしいキャリアを歩んだ五十嵐氏と岩隈氏が子どもたちに伝えたのは、技術ではなく楽しさだった。神宮外苑軟式球場で未就学児から小学校高学年まで約60人にベースランニングやゴロ捕球などを教えた。より速く走ったり、投げたりするための技術指導ではなく、遊びの延長で野球の動きを学ぶ内容。五十嵐氏は「野球というよりは遊びなので、遊びの中から野球を知ってもらえれば嬉しいです」と意図を明かした。
40代前半の2人が子どもの頃は、近所の公園や広場で友達と集まって野球で遊ぶのは日常だった。だが、今は首都圏を中心にキャッチボールをする場所さえなくなっている。最近10年で少年野球は約3000チームが減り、合併や廃合が後を絶たない。岩隈氏は「近所の友達やお兄ちゃんと遊びで野球をしていました」と振り返り、五十嵐氏は「環境が今とは違いましたね」と時代の変化を実感している。
時代は変わっても、野球の楽しさは変わらないはず。野球で遊ぶきっかけをつくりたい思いが、今回のイベントに参加した理由だった。五十嵐氏は「野球に関係のある遊びをやって、『面白いと思ったら野球だった』というように、きっかけは何でもいいんです。子どもたちが体を動かす時間を作れたらと思います」と語った。
2人の思いは参加した子どもたちにも伝わったようだ。イベント会場では「もっとやりたい」「もう1回やって」などと声が飛んだ。保護者の1人は、岩隈氏のファンだったことがきっかけでイベントに申し込んだといい「子どもが野球に興味を持ってくれるかな」と笑顔を見せた。
野球をできる場所が減る中、きっかけを少しでも増やしたい――。五十嵐氏はイベント会場から見える神宮球場を指さし「いつか隣で野球をやれるように」と願った。
(川村虎大 / Kodai Kawamura)
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