「全員野球」で伸びた選手寿命…坂本勇人を育てた名将が“大転換した”指導論
新型コロナきっかけに指導方針一変「選手が野球をやめなくなった」
今春の選抜高校野球大会に出場した茨城の明秀日立は、創部初となる夏の甲子園切符もつかんだ。チームを率いる金沢成奉監督は、巨人の坂本勇人内野手らを育てた青森・光星学院(現・八戸学院光星)時代とは指導方針を大きく転換。2年前からレギュラーと控えを区別しない “全員野球”を掲げている。選手のモチベーションを向上させてチーム力を上げる指導は、少年野球の監督やコーチにも参考になる。
7月27日、明秀日立は春夏連続の甲子園出場を決めた。土浦日大との決勝戦は劇的なサヨナラ勝利。夏の甲子園出場は創部初となる。
チームを率いる金沢監督は、2020年に指導方針を一変した。きっかけは、新型コロナウイルスの感染拡大だ。夏の全国高校野球大会が中止となり、代わりに茨城県でも独自大会が開催された。ベンチ入りが20人に限られる例年とは違い、代替大会にメンバー制限はなかった。本来ならスタンドで応援したはずの選手がグラウンドで躍動し、その姿にレギュラーが喜ぶ。金沢監督には「自分の指導は間違っていたのかもしれない」という気持ちが芽生えた。
この時から、金沢監督はレギュラーと控えの区別をなくした。これまでは「レギュラーと控え、それぞれに役割がある」と考えていたが、メンバーの決定と発表は大会直前に変更。全ての3年生が同じ練習メニューを消化するようにした。