「攻略は無理」村田兆治氏に磨かれた感性 最も三振を奪われた“三振しない男”の感謝
南海、近鉄時代に対戦した新井氏「追い込まれるまでは絶対にフォークを投げない」
ダイナミックな投球フォーム“マサカリ投法”で、プロ通算215勝を挙げた元ロッテの村田兆治氏が11月11日に急逝した。南海、近鉄で通算2038安打をマークした名球会員の新井宏昌氏は「現役時代に一番、自分の感性を磨かせてくれた方」と、感謝の気持ちを語った。
新井氏の前には常に“大エース”が立ちはだかっていた。150キロを超える直球に落差の大きなフォーク、鋭いスライダー。球界を代表する右腕の存在に「現役時代は数々のエース投手と対戦しましたが、村田さんが一番、自分の感性を磨かせてくれた。最初に対戦した時は『これは攻略するのは無理だ』と全く歯がたたなかった」と振り返る。
ボールだと思い、見送った低めの直球は伸び上がりストライクに。真っすぐと思ってスイングするとフォーク。安打製造機と呼ばれた男のバットは何度も空を切った。何度も対戦することで村田氏の“男気”を打席の中でも実感したという。
「打撃に自信を持っていなかったが、目には自信を持っていた。それを完全に覆された投手。これが“大エース”と呼ばれる投手の球かと……。追い込まれるまでは絶対にフォークを投げない。相手が直球と分かっている中でも『打ってみろ!』という感じで投げてくる人でした」