小学生の神経鍛える“140キロ直球トレ” お金の無駄でも…元プロが勧めるワケ

オリックス、中日、阪神でプレーし、現在は整骨院を営む南牟礼豊蔵氏【写真:山口真司】
オリックス、中日、阪神でプレーし、現在は整骨院を営む南牟礼豊蔵氏【写真:山口真司】

バッセンで140キロの体感を推奨「子どもは速さに慣れてくる」

 元プロ野球選手で兵庫県西宮市の「みなみむれ接骨院」院長の南牟礼豊蔵氏は野球教室などで小学生を指導する時に、必ず呼びかけていることがあるという。それは「子どもの時には体を鍛えるより頭を、神経を鍛えよう」。実際にそれにつながる練習を取り入れて教えているそうだ。さらに保護者に対しても「お金の無駄だと思ってもやってほしいことがある」。バッティングセンターでの“140キロ直球トレーニング”だ。

「子どもが大人と違うのは体力、筋力。小学生に2キロや3キロのバットを振れと言っても振れるわけない。大人だって2キロのバットは振れても10キロのバットは振れないでしょ」。こう話した南牟礼氏は、首をかしげながら続けた。「大人と子どもの対比からすれば、大人に10キロくらいのバットを持たせた状態にしているのに、マスコットでティーバッティングをやらせている人がいる。愚の骨頂。怪我をさせにいっているようなもんですよ」。

 その上で主張するのが神経強化だ。「子どもが大人とまず変わらないのは神経なんです。例えば速いものを見たら、子どもも大人も同じように速く感じる。違いは、子どもはそれに慣れてくるけど、大人は慣れないことです」。子どもたちに指導する時もそういうことを意識して“遊び”を取り入れている。たとえば、ひとりじゃんけん。グー、チョキ、パーを両手で出して「必ず左が勝つようにする。パンと叩いたら、今度は右、次はまた左っていうのを瞬時にする」。

 これを行うことが神経を発達させる。神経を使うと体がいろいろなことを調整しようとする。「野球はボールやバットとか道具を使うスポーツだけど、道具を持つ力は大人になったらだんだんついてくる。でも、力がついても、ボールのスピードについてくるのは感覚神経、それを発達させてあげないと」という。

「子どもをただ立たせてください。立っているだけでいい」

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